「レーデルオガワ」って一体何者なの!? という疑問を解決しました

レーデルオガワ サムネイル

革のダイヤモンドと呼ばれる、馬の革からごく僅かしか取れないコードバン。一流の男なら一度は手にしておきたい一品です。

そんなコードバンの財布を探していたら必ず目にすることになる「レーデルオガワ」。

「当社はレーデルオガワ製のコードバンを使っています」これを喜々として記載するショップが本当に多いですよね。そこまで書かれておいて、レーデルオガワが何者なのかは説明がほとんど無い。もしかしたら革業界では周知の事実なのかも知れない。

でも、僕のように何も知らない人間の方が多いのではないかと思って、国内最強のコードバン会社と呼ばれるレーデルオガワを調べてきました。

少し長いですが、どうか最後までお付き合い下さい。

 

レーデルオガワって何者?

まずレーデルオガワ、自社のホームページが無い。

「レーデルオガワ」で検索すれば一番上に出てくるのは土屋鞄製作所のレーデルオガワ取材記事です。ますます謎です。

でも、レーデルオガワの取締役「長谷革さん」のFacebookを見つけたので、なんとなく分かってきました。

 

という事で、レーデルオガワの詳細を少々

千葉県 流山市に拠点を構える「有限会社レーデルオガワ」は、コードバンの仕上げと染色を行うタンナーです。鞣し工程はやっていなくて、国内馬革タンナーの「新喜皮革」から仕入れています。

タンナーというと鞣しから行っているイメージがあったのですが、レーデルオガワのように皮革を仕上げるという業者も含むそうです。かなり特殊な位置付けだと思いますが、僕達の目に触れないだけで実際はこういった業者が他にも数多くいるのではないかと思います。

 

仕上げと染色

レーデルオガワ製のコードバンを国内の革工房がこぞって自社の製品に起用したい、その理由は仕上げと染色技術にあります。

■革の仕入れ
まず最初に、鞣された状態の革がレーデルオガワに入って来ます。この革は新喜皮革から仕入れられています。

■職人による選別
これを熟練の職人が一つ一つ手作業で選別していって、状態の良い革と悪い革に選別していきます。極上のコードバンはなんとベルト用として使われるようです。ベルトは長さが必要なので、良い状態の面積が広くないと加工出来ないわけですね。勉強になります。

■コードバンへ加工
職人が選別した革をレーデルオガワ秘伝の技術で仕上げていきます。乾燥、加脂、削りだし、グレージング、様々な加工を経て馬の尻の革がコードバンへと生まれ変わっていきます。

■日本一の染色技術
太平洋戦争の最中に編み出したというコードバンの染色技術。残念ながら発案者の方は亡くなられたようですが、その技術と魂は後世の職人へ受け継がれています。
クロームなめし用の染色技術をタンニンなめしへと使う事で、鮮やかな発色が出来ているようですが、詳細は企業秘密とのことです。

 

レーデルオガワの染色技術

門外不出の企業秘密ですが、長谷革さんのFacebookで「革まめ(革の豆知識)」として少しだけシェアされていたので紹介します。

 

染めの種類

アニリン染め

レーデルオガワの真骨頂のアニリン染めです。

革メーカーによっては水染めコードバンと呼ばれるアニリン染め。アニリン染め=水染めという訳ではなく、水染めの中の一部としてアニリン染めが有ります。アニリン塗料は染料なので、透明感のある染色ができます。
水性染料を8〜14回に分けて色を染み付け、更に6〜10回に分けて表面を素上げに限りなく近い状態に保ちつつ、耐傷水光加工を施した、デリケートな革です。

 

草木染め

  • 藍染(あいぞめ):藍色 ネイビー 紺の中間色
  • 茜染(あかねぞめ):赤 ピンク オレンジの中間色
  • 柿渋染(かきしぶぞめ):黄 茶 黄土の中間色

レーデルオガワでは、3種類の草木染コードバンがあります。革の中で起こる化学反応を利用して染色します。
その染色工程は二十数回になり、レーデルオガワのコードバンの中で最も多くの手間、時間を要します。

 

塗料染め(とりょうぞめ)

塗料というと絵の具のようなサラサラの染料とドロドロしている顔料の2種類に別れますが、ドロドロの方の顔料を使ってコードバンの表面を塗り固めます。顔料は革に染み込みにくい為、ペンキで家を塗ったりするのと同じだと思って下さい。
靴やランドセルなどはこの仕上げが多いですね。キズや摩耗に強いですが、その分経年変化が少ないです。

 

丘染め(おかぞめ)

丘(おか)だけ染めるので丘染め。革の表面を丘に見立てて表面だけを染める技術です。革の中は染めない方法です。

 

丸染め(まるぞめ)

丘染めと違って、革を丸々染めてしまうので丸染です。染料にドブンと付けてしまうやり方ですが、革の芯までは染まりません。
革の芯まで全て染めてしまうのは芯通し(しんとおし)と言います。

 

UP

UPとはUPPER LEATHERの事で、靴の甲の部分に使うための革です。

通常レーデルオガワでは一次鞣し(なめし)された革に再加脂(油入れ)します。UPはその後に秘伝の油をもう一度入れます。この工程により強度は増し、質感はしっとりとした落ち着いたモノとなります。
元来靴用として加脂染色していたUPですが、最近はお財布などの小物を創るのに利用されています。

 

裏白(うらじろ)

革の片面だけ染める方法で、水染めと同じ定義で使われているようです。片面はコードバンの地の色が出るので、白と言うよりもベージュに近くなります。

 

塗装後の仕上げ

塗装後の仕上げ方法です。用途に合わせて色々な仕上げ方法を選択されています。革は仕上げ方法でも表情が全然違うので面白いですね。

マット仕上げ

ツヤ無しでの仕上げ方法です。使っていると経年変化でツヤが出てきますが、落ち着いた雰囲気が欲しい時にぜひ。

 

ツヤ有り仕上げ

表面を宝石のメノウでグレージング(磨く)することで、コードバンに独特のツヤが出てきます。革のダイヤモンドと呼ばれる由縁がここに有ります。

 

アニリン仕上げ

アニリン塗装での仕上げです。透明感のある仕上がりが特徴で、他の塗装に比べて塗膜の耐久性が低く、取り扱いに注意が必要です。

 

WAX仕上げ

各タンナーが一子相伝で受け継ぐ秘伝のWAX仕上げです。一般的に市販されている革用のWAXとは別次元の仕上がりをするみたいです。気になります。

 

ラッカー仕上げ

ラッカー塗料で表面を仕上げる方法です。タミヤのスプレーなどで有名ですが、革もこの仕上げが有ります。塗膜が薄く耐久性が悪いです。

 

ウレタン仕上げ

ウレタン樹脂を使って表面を仕上げる方法です。エナメル革の光沢仕上げや自動車用のシートのような、強い物理特性が必要な場所に使われます。

 

ちょっと豆知識

面白い話を見つけたので転載します。コードバンの表面をなんと呼ぶかという長年の疑問が一気に解けました。

ただし、職人の間での呼び方なのでショップで使っても店員さんは分かってくれません(笑)。

一派的な革とは、表裏が逆になっているコードバン。どのように呼び分けているのか。

一般的な革の塗装面、コードバンにとっては裏面、どちらもギンと呼びます。トコと呼ぶこともありますが、基本的にコードバンは、塗装面はカネ、裏側はギンと呼びます。

ちょっと通な、言い方をすると…

一般的な革の場合:裏っ返しになっている革を指さし…
「ちょっとその革のギン面見せてもらえます?」

コードバンの場合:コードバンは削ってコードバン層を出しているので…
「このコードバン綺麗にカネが出ていますね♪」

これであなたもコードバン通です(笑)

~長谷革さんのFacebookより転載~

 

まとめ

レーデルオガワは世界一のコードバン染色屋といっても過言では無いです。

コードバンの染色を生業にしている業者は少なく、その染色能力は世界でも指折りの実力を持っています。

革工房などの加工屋はレーデルオガワのコードバンに絶対の信頼を置いているし、レーデルオガワ製のコードバンを使っていると言う事をわざわざ伝えることが製品の良さをアピールすることにもなるわけですね。

というわけで、レーデルオガワのご紹介でした。

⇒「レーデルオガワのコードバンが使われている財布の記事]

 

~今回参考にさせて頂いたサイト様~

レーデルオガワ取締役:
長谷革屋Facebook長谷革屋アメブロ

土屋鞄製作所:
革工房レーデルオガワ

GANZO:
CORDOVAN—Dyeing section 引き継がれた水染め

mic:
micの拘り コラム(レーデル小川)

一般社団法人 日本皮革産業連合会:
皮革用語辞典

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