「タンナーって何?」
っていう人から、
「革はこのタンナーじゃねーとダメだ!」
っていう人まで様々な人に向けたページです。
ということで、革財布とは切っても切れないタンナーのお話です。
(※タンナーのURLが変わっていたので修正しました。2022)
革財布に使われるタンナーの話
世界中に大小数千~数万いるといわれているタンナーですが、その中でも有名なのはほんの一握りです。
今回はそんな一握りのタンナーを紹介しようという趣旨ですね。
ですが、タンナーの質がどうこうというのは正直わかりませんし、格付けも難しいです。
革は使用用途に応じて求められるレベルが変わってくるからです。
財布に使う革と、車のレザーシートに使われる革と、革靴に使われる革が同じ革だと困りますから。
・財布にとって良い革とは?
財布に求められている革だと↓の要素が込められていることが多いです。
- メンズ革財布:経年変化がカッコいい
- レディース革財布:シボの深いナチュラルレザー
- ハイブランド:きめ細かく美しい
あとは珍しさだったり、あまり数の取れない貴重なものは値段が上がります。
基本的には素材の値段がそのまま革質にも表れてきますので、「高い=良い革」という認識でもいいかもしれません。
ですが、「高い=丈夫」ということではないので、使う時には注意が必要です。
・タンナーとは
タンナーというのは製革業者のことです。革を鞣す「tan(タン)」が名前の由来でなんですね。
皮革製造に関わる人たちのことを差す言葉なので、革の染色しかしていない会社みたいに、鞣しをしていない会社もタンナーに含まれたりします。
ですがまぁ、基本的には革を鞣す会社だと思っていて大丈夫です。
国内で有名なタンナーには、栃木レザーや新喜皮革などがありますね。
・皮を鞣すとは
もともとの動物の皮は、そのままにしておくと腐ってしまうので、薬品などを使って皮を腐らないように変質させます。
この過程を経て「皮」が「革」になるのです。
鞣す過程で大量の水を使うため、タンナーは水のキレイな土地に集まる傾向にあります。
国内だと、兵庫県(姫路地区・たつの地区)、和歌山、東京にほとんどが集まっているんですよ。
とくに兵庫はタンナーの聖地とでもいうレベルでたくさんのタンナーがあります。
タンナーの紹介
各国のタンナーは大小合わせるとかなりの数になります。それこそイタリアのサンタ・クローチェ地方だけでも1,000を超えるといわれています。
なので、今回は革財布用の素材として使われている有名なタンナーを中心に取り上げていきます。
並びは、あいうえお順ではなく思いついた順になっているのでご理解ください(O型ですみません)。
日本のタンナー
日本には大小合わせて様々なタンナーがあるみたいですが、僕が分かるタンナーだけ載せています。
やっぱり日本のタンナーというだけで愛着が湧きます。
栃木レザー 株式会社
栃木にある老舗タンナーです。ここの革じゃないとダメっていう熱狂的なファンもいるくらい有名です。タンニン鞣しだけにこだわって自社で一貫生産しています。
公式サイトにある「革を鞣す過程の動画」と「男らしいQ&A」は一見の価値があります!
姫路レザー有限会社
以前は姫路周辺にある革業者の総称を指していましたが、2013年に姫路レザーブランドを守るために会社として設立されました。
オリジナル混合なめしのアルコタンニンレザーなどを、なんと自社オンラインショップから買うことができます。
有限会社 新喜皮革
- 公式サイト:http://shinki-hikaku.jp/
馬革タンナーとしては日本一だといわれている。世界でも有数のコードバンを生産できるタンナーとしても有名。
オリジナルブランドとして展開しているウォームスクラフツマニュファクチャーもかなりハイレベル。
宮内産業 株式会社
車用や家具用の革をメインに作っているタンナー。
クロム鞣し顔料染めのコードバンも作っていて、本革ランドセル用の皮革素材のシェアは80%を誇る。
フランスのタンナー
すごく有名なフランスのタンナーとして、デュプイ社とアノネイ社がありますよね。両方とも最高品質のカーフレザーを使っています。
実は両社ともエルメスに買収されたという情報があったので、けっこう調べてみたのですが、僕の能力が足らず情報の出処が分かりませんでした(汗)。
革にこだわるエルメスのことなので現実味がありそうですよね。
デュプイ社
世界でもトップクラスの最高品質カーフレザーを作るタンナー。
デュプイといえばフランス、フランスといえばデュプイという印象もある。
エルメスなどの高級ブランド御用達になっていて、デュプイの革を使っていることが一種のステイタスになっている。
アノネイ社
その昔、デュプイから独立した老舗タンナー。品質はデュプイと肩を並べるほど。高品質な革として世界中のハイブランドがこぞって求めている。
最近ではデュプイよりも良い革を作れるようになったとか、ならないとか。
イギリスのタンナー
イギリスはブライドルレザー発祥の地として知られてます。
紳士の国らしい、紳士の革。実は、ブライドルレザーが革小物に使われるようになったのはここ最近のことらしいですね。
トーマスウェア社(THOMAS WARE & SONS LTD)
- 公式サイト:http://thomasware.co.uk/
イギリス最大級の老舗タンナーです。
ファッション用の皮革以外にも、馬具用や産業用、革靴の底用などの皮革も取り扱っています。
革にこだわるワイルドスワンズでもここの革が使われています。
セジュウィック社(J&E SEDGWICK & CO.Ltd )
国内でブライドルレザーを使っている革財布の中では、このセジュウィック社のブライドルレザーが一番よく使われているのではないでしょうか。
日本語での発音が難しく、セドウィック社やセジウィック社など、そこそこ音感が合っていれば呼ばれている感じがします。
ベイカー社( J&F J Baker & CO.Ltd)
手間暇かかる昔ながらの手法を使っていてい、流通量がかなり少ないレアなタンナーになります。
フルグレインブライドルレザーは、革の表面を削らない特殊なブライドルレザーなので耐久力が段違いです。
グレード社(GRADE LEATHER.LTD)
老舗だらけのイギリスのタンナーの中で、1991年設立と、比較的新しいタンナーです。
ホームページを見ても、かなり積極的に営業をかけられているみたいで、国内だと吉田カバンなどで使われています。
コノリー社
高級車の内装用の革として、かつて一斉を風靡していました。
今はもう会社自体が存在していませんが、在庫を大量に持っている会社が残っていたり、コノリー社が作ったレザーケア用品はレシピが残っていて流通していて名前は残っています。
ドイツのタンナー
クロム鞣しの本場ドイツ。
高級皮革に分類されるボックスカーフなど、気品や色気を感じる革が得意なのです。
ペリンガー社(Perlinger leather)
シュランケンカーフ、クリスペルカーフなどの高級皮革といえばペリンガーですね。
品質の良さは世界的に有名ですし、排水など環境問題へも真摯に取り組んでいます。
ワインハイム社(Weinheimer Leder GmbH)
かつて世界一のボックスカーフを作っていたカールフロイデンブルグ社の皮革部門が無くなるときに立ち上げられたタンナー。
ワインハイム自体は出来たばかりなのですが、カールフロイデンブルグから引き継いだ技術には定評があります。
イタリアのタンナー
ドイツがクロム鞣しなら、イタリアは植物由来のベジタブルタンニン鞣しです。
すごい数のタンナーがひしめき合っていますが、有名なタンナーは少ないですね。
イタリアンレザーといってもタンナーがたくさんあるので、どこのタンナーか分からないメーカーだとギャンブル的な要素もあったりして。。。
バダラッシ・カルロ社(BADALASSI CARLO)
昔ながらのバケッタ製法で革を作る数少ないタンナーです。
革作りの学校で教授をしていたカルロ氏が、自分の理論を実証するために作った会社という異色の経歴があります。
比較的新しいタンナーですが、ミネルバ・ボックス、ミネルバ・リスシオ、ナッパCBなど、ガッチリとハートを鷲掴みにするヤバすぎる革を作っています。
ワルピエ社(walpier)
高級皮革のブッテーロを作っているタンナーです。
発色が良く、経年変化もいい感じなので革財布ではよく使われる皮革素材ですね。
本当に幅広く使われています。
オリーチェ社
- 公式サイト:http://www.orice.com/
トスカーナ地方のタンナーで、ベジタブルタンニン協会に入っています。
日本ではグレンチェックのオリーチェシリーズに使われていますね。ブランド名にもなっているので独占契約になっているのかもしれません。
ベルギーのタンナー
ベルギーは一社だけが非常に有名なわけで、他のタンナーは分かりません。
ただ、その一社がとんでもなく良い物を作っているんですよねぇ。
マシュア社(masure)
- 公式サイト:http://www.masure.be/en/
サドルプルアップという銘革で世間を圧倒しているタンナーです。
オイルたっぷりの革で、そのポテンシャルの高さには革好きが絶賛してしまいます。
アメリカのタンナー
アメリカも有名なタンナーは一社しかありませんね。
ほら、あそこですよ。あそこ。
ホーウィン社
公式サイト:http://horween.com/
シェルコードバンと呼ばれる世界最高のコードバンと、クロムエクセルレザーという混合なめしの特殊な皮革が有名です。
特にシェルコードバンは人気が高く、材料になる農耕馬が少なくなっている事もあって、年々貴重になっています。
まとめ
いかがでしたか。
一口にタンナーといっても様々な種類のタンナーがあることが分かってもらえたと思います。
一応、革財布に使われるタンナーはそこそこ紹介できたと思いますが、「このタンナーが足りないぞ!」とか、「情報足りないんじゃないの~?」というご意見は随時お待ちしています。
また何か発見したら追記していきますね。