こんにちは。ブログ管理人のナナッフです。
今日は僕の大好きなクロムエクセルレザーをご紹介します。
タイトルが意味深ですが、読んで頂ければ分かってもらえると思います。
クロムエクセルレザーとは
ホーウィン社というアメリカはシカゴにあるタンナー(革の業者)が作っているのがクロムエクセルレザーです。他にホーウィン社の代表的な製品には「シェルコードバン」があります。
ところで、このクロムエクセルレザーは100年前のレシピをホーウィン社が独自に復活させたという経緯がありまして、かなりマニアックな特徴を持っています。
- オイルがめちゃくちゃ含まれている
- キズがめちゃくちゃ付きやすいけど、ブラシで撫でると消える
- 混合なめしと思えないくらい馴染むのが早い
- 温度で硬さが変わる
- 丘染め
- 伸びる
見た目は普通の革なんですけど、特徴がすごいんですよね。
また、独特の革らしい良いニオイもするので、革のニオイが好きな人も楽しんでもらえると思います。ニオイで「あ、これクロムエクセルレザーだ」って気がつく人もいるくらい、強めの香りです。
というわけで上記を1つずつ説明していきましょう。
オイルがめちゃくちゃ含まれている
オイルレザーなので当たり前ですけど、めっちゃオイリーなんですよね。
手入れとかいらないんじゃないかってくらい、革にオイルがたくさん入っています。
そのおかげで、後で説明する様々な現象が起きるんだと思っていますけど、指で押したら分かるくらいのオイル感なので、プルアップレザーと呼ばれています。
画像のように指で押すだけでグーッってオイルが浮いて来るんですよ。
キズがめちゃくちゃ付きやすいけど、ブラシで撫でると消える
丈夫なはずの混合なめしなのに、恐ろしいほどキズがつきます。
ちょっとクロムエクセルのブーツを履いて、子どもと動物園をぐるっと歩いてまわってだけでもブーツが傷だらけになっています。
そして、馬毛のブラシでシャカシャカしているとキズが消えてきます。
キズが消えなくなってきたら油分が足りなくなってきたってことで、オイルを入れたりメンテナンスするようにしています。
油分さえあれば、わりと深い傷でも消えるんですよね。不思議です。
混合なめしと思えないくらい馴染むのが早い
クロムエクセルレザーを使ったブーツのレビューなんかを見ていただくと分かると思いますが、馴染むのが尋常じゃないくらい早いです。
混合なめしって丈夫さが売りですが、この革に頑固さは感じられません。優しさの塊です。
初心者がブーツを買うなら一番最初におすすめしたい良いレザーです。
もちろん経年変化も素晴らしいですよ。
温度で硬さが変わる
クロムエクセルのブーツを履き始めた時にマジでビビったんですけど、履いてからしばらくすると、体温で柔らかくなってくるんですよ。
特に、冬場だと玄関にあるときはカチカチなのに、履いてしばらくするとフニュ~ンって感じで柔らかくなります。
もともとがそこまで硬くないのに、さらに柔らかくなるので「そりゃ馴染むのも早いわ」って思います。
靴を脱ぐときは最高潮に柔らかいので、ちょっとだけテンションがあがります。
丘染め
革に色を付けるときの話なんですけど、革の表面だけを染める「丘染め」なので、キズがついたら革本来の色が出てきます。
特に黒いブーツだと、キズが茶色くなって残るので「茶芯(ちゃしん)」と呼ばれてマニアの間で楽しまれています。
芯まで染め上げる「芯通し」だと、この茶芯が楽しめないので、茶心を楽しむためだけに黒のクロムエクセルブーツを買う人もいるくらいです。マジ変態ですね、ふふふ。
伸びる
ニュ~ンって伸びます。弾力性がある感じなのかな?
革の概念が変わると思います。
僕はクロムエクセルレザーのブーツから革に目覚めたので、逆に他の革が伸びないことに衝撃を受けました(笑)。
クロムエクセルレザーの勘違いされている点
ということで特徴を軽く説明しましたが、柔らかくてキズが付きやすい、繊細な革だということが分かって頂けたと思います。
つまり、本来ならブーツにはまったく不向きな革なのですが、クロムエクセルレザーのアジの出やすさ、馴染みやすさなどが功を奏して、かなり人気のある革になっています。ダメな奴ほど可愛いの法則ですね。
最近ではクロムエクセルレザーを使用しているブーツも増えてきました。一昔前はコアなファンの間だけでの密かな人気だったので嬉しい限りです。
ただ、それにともなって間違った情報が流れています。
「クロムエクセルレザーはラグビーボールや野球のグローブに使われている」
さて、繊細な革であることは説明しましたが、そんなキズの付きやすい革をラグビーボールやグローブのようにハードな使い方が出来るでしょうか?
普通に考えて出来ないですよね。
スポーツシーンで使われているということなのでかなり調べて見ましたが、一般的にクロムエクセルレザーが使われているようなネタを見つけることが出来ませんでした。
ブーツレザーをラグビーボールにしているブランドで一件だけ見つけましたが、ガンガン売れている感じには見えませんでしたしね。
ホーウィン社では
ホーウィン社の公式サイトを拝見したところ、サッカーボール用の革と野球のグローブ用の革を独自に作っている事が分かりました。
でも、クロムエクセルレザーとは別の革として扱われていましたし、野球グローブにいたってはクロム鞣しで作っていると書いています(たぶん)。
FOOTBALL
Official Football leather is a very important leather to us. This leather was developed and produced by Arnold Horween Sr. after playing football professionally and head coaching the Harvard football team. We’ve produced football leather continuously for more than 60 years.
This specialized leather is treated with our own proprietary tannage and extracts, giving it the high performance characteristics demanded by professionals and amateurs alike. The unique “Tanned in Tack” provides excellent grip in all conditions, and can be revived by simply brushing the ball.
引用元:ホーウィン社公式サイト
BASEBALL GLOVE
Our ball glove leather is a straight chrome tannage and is designed to meet the demanding expectations of professional athletes. This tannage is specifically formulated to yield the strength, durability, and temper that are ideal for repetitive use. Only the very finest full grain hides are selected for this fully aniline, oiled leather.
引用元:ホーウィン社公式サイト
英語が得意では無いので、翻訳ソフトと自前の英語能力で読んでいます。間違っていたら指摘下さい。
という事で
クロムエクセルレザーは大変良いレザーです。
なので、間違った認識で購入して後悔して欲しくないのです。
少しでもクロムエクセルの事を知っていれば、こんなスポーツ用でも使われているかのような間違った表記は絶対にしないはずです。
本来ならこんな事は書きたくなかったので「間違っていませんか?」という問い合わせだけで終わらせたかったのです。が、なにせこの情報がネットのいたるところにあります。
この間違った認識は日本だけで広がっているので、発信源は日本にあると思いますけど、いまや突き止めたところで解決しないと思います。
クロムエクセルレザーの正しい認識とは
ラグビーボールや野球のグローブに使われているというと丈夫なイメージがついてきますが、実際にはキズの付きやすい可愛いヤツなんです。
ただし耐久性はあるので、キズが付きやすい=脆い という事ではありません。あくまで表面だけの話です。
ちなみに、ラグビーボールも野球のグローブも、混合なめしの革を使っているというところで間違ってしまったのだと思います。
クロムエクセルレザーは混合なめしの一種ですが、「特殊な鞣し方をした混合なめしの皮革」です。混合なめし全般を指す言葉ではありません。
まとめ
途中でつまらない話になってしまいましたけど、要するに良いところも悪いところも全部含めて好きになって欲しいというのが僕の願いです。
「キズがつきやすかったから売った」という残念な書き込みを何回か見ましたが、元々がそういう革です。それを楽しむ革なのです。
使い込んで来ることで出てくるツヤや手触りの良さもありますし、何より優しく自分に寄り添ってくれている、そんな気持ちにさせてくれる良いヤツなんですよ。
むしろ、クロムエクセルを使った野球のグローブを見てみたい!!って思ったのがこの記事を書き始めた動機なので、誰かこの機会に作りませんか?(提案)