革財布を選ぶ時に、縫い糸の太さを気にしたことはありますか?
あまり気にしたことは無いんじゃないかなと思いますが、縫い糸も財布選びのポイントに入れて見て下さい。
きっと、もっと財布選びが楽しくなりますよ。
手縫い、ミシン縫いの違い
まず、革財布の縫い糸には、主に2種類あります。縫い目を見ればどちらで縫われた物か分かります。
手縫いの方が縫い目が揃いにくく、手作り感が出るのでみんなに愛されていますね。
手縫い
文字通り手で縫います。
学校で習った裁縫と違い、レザークラフトでは革に専用の工具で穴を開けてから針で縫います。穴位置さえ注意すれば、裁縫のように縫い目がガタガタになりにくいので初心者の人でもソコソコの形になります。
専用工具の穴ピッチ(3mm幅や5mm幅)で縫い糸の幅を調整します。穴ピッチと糸の太さによって、糸をギューっと詰めてワイルドに見せたり、糸を目立たせないような細い糸を使ってシュッとスマートに見せたりと、色々変化を付けることが出来ます。
縫い目をキレイに見せるために、職人が日々頭を悩ませている場所でもあります。
ミシン縫い
革財布のミシン縫いというと、なぜか安っぽいイメージがついて回っています。大量生産向きで簡単に出来るんじゃないかって思われているんでしょうか。
実際には、分厚い革を縫うミシンは特注品なので、結構なレア品になります。あまり見たことないでしょ?
家庭用のミシンではまったく歯が立たないのと、レザークラフト業界ではアンティークミシンが人気のようで、いざ革をミシンで縫おうと思っても手軽に手に入るような代物ではありません。
実は私、業務用のハイパワーミシンが家にあるので、縫おうと思えば縫えるのですが・・・。極厚革の負荷に耐えられる針や、専用の糸を揃えるのが面倒くさくて放置してます。(笑)
革を縫うって恐ろしく大変なんですよ。
太さで選ぶなら
手縫いは太い糸を使いやすいです。逆に、細い糸は難しいので敬遠されがちです。細い糸の手縫いは海外ハイブランドの財布に多い様な気がします。
ミシン縫いは細い糸で縫うのは楽ですが、太い糸になればなるほど難易度が上がります。探してもあまり無いですよね。
つまり、縫い方によって得意なジャンルが違うので、欲しい財布のイメージに合わせて選んでください。
マニフォールドの財布はミシン縫いで太い糸を使っています。
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耐久性の違い
世間では、縫い目が太ければ太いほど良いという風潮ですね。それは間違いでは無いと思います。
ただし、太い糸になると革の表面からはみ出してしまいますから、財布が擦れるときにはみ出している部分の糸にかかるダメージがすごく大きいです。
工房系の職人さんは、革にあらかじめ溝を掘って、糸を溝に落としこむ技術を使って擦れないようにしていますが、ヤフオクなどで出品されている、単に太い糸を使っただけの革財布は糸がすぐにほつれたりします。
糸の耐久性は本当に色々な技術によって日々進化しているので、糸の太さやミシン縫い、手縫いの違いだけでは語れないところがあります。
それに、実際に使っていて、ミシン縫いと手縫いでの耐久性の違いというのはあまり感じません。縫い目がダメになるよりも先に、財布に飽きて買い換えることの方が多いですし。(汗)
そういうば昔、PR◯DAの財布を壊れるまで使った時は、革が先にダメになって破れてしまいました。日々の革のメンテナンスも大事ということですね。
シニュー糸
糸についてはあまり知らないので少しだけ。
シニュー糸、ビニモ、麻糸など素材や用途によって使い分けられています。手縫いの糸で最高なのはシニュー糸だと言われています。耐久性も良いのですが、見た目の雰囲気が最高です。
シニュー糸は平たいきしめんのような糸を裂いて使うので、素人が使うと糸の太さが場所によってばらつきます。かなりショックです。(経験者談)
シーンで選ぶ
完全に好みの問題なのですが、カジュアルな恰好をしている時は手縫いの財布がよく似合います。特に、色落ちしたジーンズにアメ色に焼けた財布というのは鉄板ですが、その財布がゴツい糸で手縫いだと最高です。
逆に、フォーマルな恰好でゴツい財布は似合わないので、スーツの内側に入れるような財布はミシン縫いでなるべく細い糸を目立たないように使われているとカッコイイですね。
手縫いでおすすめの財布
手縫いだから偉いとかミシン縫いだからダメだとかは思って欲しく無いのですが、技術としてそういう違いが有るということを知りながら革財布を見ると、また楽しみが増えますよね。
バイカーズウォレットのような分厚い財布なら手縫いの財布を作っているブランドが多いのですが、スッキリしたスーツでも使えるような革財布を作っているブランドはあまり多くありませんね。
小さい糸は縫うのが面倒くさいのとミシンの方がキレイに縫えるので、大体のすみ分けが出来ているんです。
手縫いのおすすめ財布としては大輔レザーを押しておきます。コバの処理もキレイだし、インスタグラムで縫い目のアップを良く載せているので、手縫いに絶対の自信を持っています。
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また、老舗のMOTOという革工房の実力もすごいので、お時間の有る時にでも見てください。
ここも信じられないくらいの技術を持っています。
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ミシン縫いでおすすめの財布
ミシン縫いはどこの財布もそこまで大きく変わらないですよね。
確かに、国外のブランドだとあからさまに酷いところもあったりするんですけど、ただそこのブランドの財布が壊れやすいかって言うとそうでも無いので、そんなに気にしなくて良いんじゃないかなって思っています。
ルーバーでわざわざ溝掘ってから縫って糸を落としこんだりしているところも有るんでしょうけど、むしろそういうブランドを見つけたらガンガン発信して行きたいと思っています。
また、日本のブランドだと最初から信頼度MAXなので色々考えなくても大丈夫なのが良いですね。
ここではコスパ重視でココマイスターを押しておきます。人気すぎて在庫が少ないのが難点ですけど。
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まとめ
縫い糸、それは神秘の世界。
手縫いの革財布は、大工と同じくらい工具に気を使わないと良い物が出来ないし、ミシン縫いの革財布は、ビンテージハーレーのようにやたら高い骨董品のミシンを使わないとアジのある革財布に仕上がりません。
どちらも一長一短なので、自分にとって好きな方を使えばそれが最高にカッコイイ!という事でどうでしょうか。