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革の知識

【納得】知らないと恥ずかしい!? 買う前に知っておきたい牛革の種類

革といえば牛革!

古来より、僕たちの生活と密接に関係している牛革は、様々なものに加工されて使われています。

革財布はもとより、革靴、革ベルト、車の革シート、本革ソファ、革ジャン、あげていくとキリがないですね。

とはいえ上記に使われている革は同じものではありません。

一口に牛革といってもたくさんの種類が混在しているのです。

今回はそんな牛革について、理解を深めていきたいと思います。

 

意外と知らない牛革には種類があると言う事

牛革、本当に素晴らしい革ですね。

一番普及している革なのに、一番奥が深くてどこまで行っても飽きさせない。

ただし革財布に使われている牛革は、非常に多くの種類があります。

同じ牛革でもカーフとサドルレザーを使った革財布ではまったくの別物になってしまいますよね。

ここから先は、牛革の種類を細かく説明したいと思います。

 

まずは革の呼び方から

SKIN(スキン)

ここは牛に限らずですが、25ポンド(約11.5kg)未満の動物の薄くて軽い革のことをスキンと呼んでいます。例えば、仔牛、豚、羊などですね。カーフスキン(仔牛)、ピッグスキン(豚)、ラムスキン(羊)、どれも一度は聞いたことありますね。

小さな動物の革は一頭あたりから取れる量が少ないのですが薄くて軽いです。さらに平滑できめ細かい、さらに病気やケガが少ないのでキレイな革になりやすいという利点があります。

薄くしなやかで加工もしやすいのですが、値段が高いので高級品などでよく使われます。

 

カーフスキン

牛革の中でも生後6ヶ月以内の一番小さい仔牛の革です。

さらに生後3ヶ月以内の仔牛の革はベビーカーフと呼ばれる希少価値の高い革になります。

きめ細やかで美しいのが特徴で、牛革としてもっとも高級な素材になります。

ハイブランドの財布はカーフスキンを使っていることが多く、エルメスはその年の最高のカーフを買い占めていくらしいです。

小さな仔牛の革なので、動物愛護の関係から年々生産量が落ちているみたいです。

 

キップスキン

生後6ヶ月から2年までの牛から取れる革で、革財布ではあまり積極的に使われない素材です。

カーフスキンよりも丈夫で安価、カウハイドよりも薄くて手触りが良いです。

一部によると、綺麗なキップスキンをカーフとして使っているブランドもあるそうです。真偽は、職人さんしか分かりませんけど。

 

HIDE(ハイド)

ヒデでは無くハイドと読みます。カタカナで書くことが多いので、アルファベットだと違和感を感じますね。

スキンとは対照に、ハイド=皮という表現はあまり日本では馴染みが無いですよね。元Xの故hide氏が有名すぎて検索しても全然出てきませんし、カタカナで検索するとL'Arc~en~Cielのボーカルが占めているので、この単語が牛革として世に回ることは無いのだと思います(笑)。

僕はhideもハイドも大好きなので、書き始めると1つのサイトになってしまうぐらい長くなってしまうので割愛しますが、牛革にもハイドという呼び方があることを覚えておいて下さい。

スキンと違い、25ポンド以上の動物の革のことをハイドと言いますが、一般的に使われるのは牛と馬ぐらいでしょうか。

ブルハイド(成牛のオス)、カウハイド(成牛のメス)、ホースハイド(馬革)見るからに丈夫そうな名前が並んでいますね。

大人に成長した動物の革なので、一頭あたりから取れる面積は広いのですが、ケンカした時に出来たキズがあったり、皮膚組織が粗くなっていて、硬さもあるので革ジャンや家具などの面積の大きいモノに重宝されています。

 

ハイドは性別でも呼び方が違うよ

ステアハイド

生後2年以上育った去勢済みのオスの牛革です。

「ステア」は食用牛という意味で、まさに食用としての流通が多いので、その副産物として一番生産されている革になります。

■26kg以上をヘビーステア

■22~26kgをライトステア

と区別されていて、国内流通が多いのはヘビーステアで、逆にライトステアはあまり流通していません。

革財布では「ステアハイド」と親切に書かれている場合や、「牛革」だけで終わっている場合がありますね。

牛革表記・本革表記=ステアハイドだと思ってもらって大丈夫です。

有名な栃木レザーでは北米産のステアハイドを使っています。
【参考】http://www.tochigi-leather.co.jp/faq/

 

カウハイド

カウハイドは生後2年を経過したメス牛の革の総称です。

仔牛の革よりも強く、成牛のオス革よりも薄いので、両者の中間的な役割で使われます。

汎用性が高く、ブライドルレザーなどもこの革を使って作られる事が多いです。

 

ブルハイド

去勢されていない生後2年以上のオス牛の革です。

オスの本能のままに生きていた牛の革なので、牛革の中で一番厚く、硬く、キズが多く、シボが大きいです。

これぞザ・牛革といった粗々しさや硬さが魅力的で、とても使いにくいマニア向けの革です。

革靴の底などに使われる不遇の革でしたが、近年ホワイツ社のブーツで脚光を浴びています。

 

牛の身体部分によっても呼び名が違うよ

動物の中でも体が大きい牛なので、部分別に呼び方が違います。食肉だとカルビ・ロース・ハラミと分けられている感じですね。

動物の革は基本的に筋肉が多い部分は厚く丈夫で、筋肉の少ない部分は薄くて弱いです。

細かく分類するともう少し多いのですが、この3ヶ所だけ覚えておけば革製品はマスターしたも同然です。

 

ショルダー(肩)

肩という意味ですが、ざっくりネック(首)の部分も含まれているみたいです。

首に近いところは革が厚く、肩周辺はしなやかですがキズが多くなります。

シワやトラと呼ばれる独特の模様はこの周辺によく出ます。

 

ベンズ(背中)・バット(お尻)

背中からお尻に掛けての革で、キズが少なく密度が詰まっていて、繊維もギュッと締まっているので一番使いやすい部位です。

面積も広く取れるので流通しやすく、革製品に使われている革はこの部位が一番多いですね。

 

ベリー(腹)

牛のお腹周辺の革で、柔らかく強度も無いです。

密度が低いので使いにくく、安い革バッグなどに使われているのを見かけます。

ナチュラル系で柔らかさが売りの革財布にもたまに使われていますね。

~良くある勘違い~
牛のお腹の革のことをハラコとして紹介しているサイトもたまに有りますが全くの別物です。ハラコは特殊な仔牛の革のことなので混同しないようにして下さいね。ハラって付いているから間違って覚えてしまったんでしょうか。

 

鞣し方の違い

先程までの話は牛を素材として見ていましたが、ここから先は加工の話になります。

牛の皮はそのまま使っていると腐敗してしまうので、防腐処理をします。

この防腐処理こそが革を柔らかくすると書いて「鞣し」と呼ばれる作業になるのですが、大まかに2種類の鞣しに分けられます。

 

タンニン鞣し

「植物性タンニン鞣し」や「ベジタブルタンニン鞣し」という表記を使われますが、大体は「ヌメ革」と言います。

昔ながらの手法の為に、現在では主流なやり方ではなくなりましたが、値段の高い革財布にはこのヌメ革がよく使われています。

革を厚く鞣すことが出来るのと、経年変化するのが特徴です。

タンナーの鞣し方によって経年変化具合が変わってくるので、ただヌメ革と言っても各ブランド別に特徴がハッキリ出てきます。

 

サドルレザー

鞣すときにオイルをたくさん入れたヌメ革のことをサドルレザーと呼んでいますが、実は定義がハッキリしていなく、業者がサドルレザーと呼べばサドルレザーになります。丈夫なヌメ革という意味でサドルレザーと呼ばれています。

語源は馬の鞍(サドル)から取られています。

 

ブライドルレザー

鞣すときに蜜蝋や牛脂を加えたものがブライドルレザーです。イギリス発祥で1000年以上の歴史がある高級皮革です。

革の内部までロウが染み込んでいて、馬具に使われているほど耐久性に優れています。

表面を覆うブルーム(白い粉)が特徴的で、ブルームが取れた時に現れる独特のツヤがポイントです。

 

クロム鞣し

クロムという薬品を使った鞣し方で、大量生産が出来るのでヌメ革と比べると安く、大量に出回っています。

薄くて丈夫なので使いやすく、経年変化もしないのでいつまでも綺麗な状態を保てます。しかし、この経年変化こそが革財布の醍醐味なので、革が好きな人からは敬遠されがちです。

革ジャンから車の革シートまで、ありとあらゆる革製品に使われています。ピンポイントで使うヌメ革と違い、何にでも使える万能な革のイメージですね。

基本的にメンテナンスフリーなのも、普及している要因の一つです。

 

コンビネーション鞣し

2種類以上の鞣し方を使って鞣す方法です。代表的なモノにクロムタンニン鞣しが有りますが、野球のグローブやブーツなどに使われています。

用途によって作られ方が違うので一概に言えませんけど、ヌメ革の厚みが欲しいけどクロム鞣しの丈夫さも欲しいとか、クロム鞣しなんだけど、ヌメ革のように経年変化させたいと言った要望で作られます。

姫路レザーのアルコタンニンレザーや、ホーウィン社のクロムエクセルレザーもコンビ鞣しの部類になります。

 

 

牛革の塗装(染料仕上げ

染料(せんりょう)仕上げは、絵の具を水に溶かしたような、透明な色付きの水で染めるやり方だと思ってください。

革の素肌の風合いがそのまま生かされますが、素材の質もそのまま表面に出てしまいます。

そのため、小キズの多い革などは染料仕上げに向いていません。

使い込んでいくと透明感のあるエイジングをしてくるのが特徴です。

 

アニリン染め

染料染めといえば、大体がアニリン染めによるものです。

革の芯まで丸々染め上げてしまう芯通し染めや、革の表面だけを染める丘染めなどの手法があります。

基本的には、水分に弱かったり、色移りをしたりと、ハードに使うものに向いていません。

その分革本来の風合いを持っているのでコアなファンがいます。

 

藍染め

植物から取られた藍を使って染められる日本の伝統的な染料染めです。

革を藍染するのは難しいので、ごく一部でしか作られていません。

サッカーの日本代表が着ているユニフォーム・ジャパンブルーも藍染めですね。

 

柿渋染め

柿渋染めも

日本古来の染色方法で、年月を掛けてゆっくり発色していくのが特徴です。

 

牛革の塗装(顔料仕上げ

水染めに代表される染料と違って、顔料は表面をペッタリ塗りつぶしてしまいます。

ペンキのような塗料を想像してもらうと分かるのですが、革表面を覆って隠すことができるため、仕上がりが素材に影響されません。

値段を安くできるのと、大量生産しやすいので世の中にたくさん出回っています。

キズに強い反面、エイジングや風合いという点では染料染めに劣ります。

 

牛革の仕上げ加工

鞣されて仕上がってきた革は、まださらに用途別の加工が入ります。

ここから先はメーカー別にやり方が異なるので、代表的な例をご紹介します。

 

型押し(エンボス)レザー

クロコダイルやリザードの型押しや、ブランド色を出すためのシュリンク型押しなどこれも語り始めると長くなります。

高くて手が出ない高級エキゾチックレザーに似せて作ったり、キズが目立たないようにさり気なく表面に凹凸を作ったりと、用途も様々です。

ファッション性の高い型押しレザーも出ていて、革の可能性を広げてくれます。

 

シュリンクレザー

これは鞣しの段階でシボやシワを出すために薬品を使って縮ませた(シュリンク)革のことです。

キズが目立ちにくいというのも有りますが、革の部位ごとにも表情が違っていて、見た目的にも革らしい革になるのが特徴です。

バダラッシカルロ社のミネルバ・ボックスなどがシュリンクレザーですね。

 

スエード

ヌバックとよく混同されているのですが、スエードは革の裏面をヤスリで起毛させたものです。

手触りが優しく気持ちいいのですが、革財布としてはあまり使われません。合皮のスエード素材のものはたまに出ていますね。

スエードよりも毛足が長いとベロアと呼ばれます。

 

ヌバック

こちらはスエードと違って革の表面をヤスリで起毛させたものです。ビロードの様な滑らかさが特徴で、優しい見た目と手触りがすごく良いです。

起毛革を代表するスエードとヌバックはサラサラしていますが、ヌバックにオイルを入れたオイルヌバックは、経年変化で使っているとツヤツヤになってきます。

 

ガラス革

革の表面をヤスリで荒らした後に、表面を合成樹脂で塗りつぶすという手間が掛かった革。表面をつるつるに仕上げられるので、革靴に良く使われていて、丈夫で長持ちするのが特徴です。

昔は鞣し終わった後にガラスに貼り付けられて乾燥していたのでこの名前になったらしいです(諸説あり)

 

エナメル革

革の表面をエナメル塗料で塗りつぶしたもの。顔が映るぐらい光沢があるのでハイブランドでも使われています。

ヴィトンのヴェルニなどが代表ですね。すごくテッカテカです。

 

牛革の種類と使い道

世界における牛革の歴史は、食肉の歴史と深く関わっているといわれています。

畜産が始まって牛肉を食べるようになった関係で、副産物として皮が余るようになりました。

それを鞣して革が大量生産されるようになったのです。

この事実を知らない人が多いのはもったいないなぁと思います。

 

※革についてよくある勘違い

そう、革は食肉の副産物なんです。

「革を採るために牛を殺しているから革製品は使わない!」

という意見をたまに耳にしますが、わざわざ革のためだけに牛を育てるのは非効率です。

本来であれば捨てるはずの部分をリサイクルしているので、じつは牛革を使うのはエコなんですよ。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

ただの牛革と言っても用途・種類によって幅広く使われているのが分かりますね。

これでもまだ入り口部分の紹介だけなので、今回の用語一つとっても本が一冊出来るくらいの情報があります。

革財布の奥深さを再確認したところで、あなたが最高の革財布に巡り会えるように祈っています。

長々とお付き合いありがとうございました。

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