革包司 博庵(かわほうし ひろあん)とは
- 3代続いた革小物メーカー
- ベタ貼り技術で薄い革財布が得意
- 水染めクロム鞣しの革がメイン
博庵の特徴
革包司 博庵とは、長谷川博司さんが2000年に立ち上げた革製品の会社のことです。
社長である長谷川さんの家系は祖父の代から3世代続いた紳士財布のメーカーですが、財布の作り方を習ったわけでもなく、独学で財布作りを勉強したそうです。
ブランド名についている革包司は革財布という意味だそうで、日本人としてのアイデンティティが込められているみたいですね。
ヨーロッパの老舗革工房を超える技術の習得を目指しているそうです。
博庵で使われている革
現在使われている革は、姫路レザーのクロム鞣し革と、博庵で「渋鞣し」と呼んでいるベジタブルタンニン鞣しの革の2種類を水染めで使っています。
博庵を買う前に知っておきたい技術は3種類
- ベタ貼り
- 本磨き
- ヘリの後切り(あとぎり)
この3つの技術で博庵の財布は薄く強く作られています。
ベタ貼り
博庵ではベタ貼り技術に力を注いでいるようで、厚さが0.4~0.6ミリの革を繊維の方向に縦横2枚貼りあわせています。
2枚の革がまるで1枚の革のようになるので、しなやかで丈夫な両表の革になりますね。
ちなみにベタ貼りを全面的に推しているのは今のところ博庵とファーロだけです。
本磨き
ヌメ革の財布なんかでは当たり前の技術ですが、クロム鞣しの革も同じように切り目本磨きで仕上げているようです。
クロム鞣しの革で切り目磨きの財布は見たことがありませんが、博庵独自の技によって磨けるようになったということです。
安物に良くあるゴム引きではなく、染料での磨き込みで本来のコバの断面を見ることができます。
ヘリの後切り
切り目磨き以外の部分はヘリ返しで縫われていますが、普通のブランドは最初にヘリを切っておいてから縫い合わせていきます。
事前にヘリを作っておくことで効率化になりますけど、その分縫い代が余ってカッコ悪いですよね。
なので、後からヘリを切るようにして、美しく見えるように加工されています。
コトバで説明すると意味がわからないと思うので、画像を参考にしてみてください。
博庵のメンズ財布
さすが親子3代で紳士財布を作っていただけあって、スーツによく似合うように薄造りの革財布が多いです。
革の鞣しの種類が調べてもよく分からなかったのですが、ヒロアンの公式サイトによれば、「表面にはタンニンなめしの革、裏面に混合なめしの革を使っている」ような表記がありました。
実際にはクロム鞣しのような雰囲気があるのですが、実際に手にとって見てもよく分かりませんでした。まだまだ革は奥が深いです。
なので革の種類はよく分かりませんでしたが、財布自体の品質の高さと軽さは僕にでも分かりました。
HIROANの長財布
HIROAN | 長財布 |
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仕様 | 札入れ、小銭入れ、カード6、ポケット |
サイズ | 188x94x12mm |
素材 | 渋鞣しボーデットレザー |
生産国 | 日本 |
価格 | ¥ 31,500 |
薄さと軽さを両立したフォーマル・ビジネス向けの財布です。
質感の良さもさることながら厚みを抑える工夫がヤバイですよ。職人の技術が随所に凝らしてあって、シンプルに見えるけどテクニックの塊になっています。
HIROANは、調べても得体の分からない部分が多くて怪しいなぁとも思っていたのですが、出来上がった財布は正直でした。素晴らしい品質の財布です。
さすが百貨店に卸しているだけのことはあります。
コバの磨きも見ていて気持ちがよく、もうちょっと名前が売れていても良いのになって思うブランドですね。
HIROANの二つ折り財布
HIROAN | 二つ折り財布 |
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仕様 | 札入れ2、小銭入れ、カード4、ポケット3 |
サイズ | 113x95x25mm |
素材 | 渋鞣しボーデットレザー |
生産国 | 日本 |
価格 | ¥ 31,500 |
この二つ折り財布の一番の見どころは札入れです!
ベタ貼りなので、通常ならシャンタン(布地)を使ったり、革の床面(裏面)が見えるように配置されていますけど、ベタ貼りなら両面が表なのでどっちから見ても気持ちいいです。几帳面なA型の人にオススメ!
ヘリの後切りという、日本ではHIROANしかやっていない技術の仕上がりもカッコ良く、かなり完成度の高い財布だと思います。
ヘリ返し部分と切り目磨きの部分が使われていて、HIROANの技術を思う存分楽しめますね。
表面の縫い目が上部にだけないので好みが分かれると思いますけど、僕はこういうニヤリとする見せ方は好きですよ。
HIROANの小銭入れ
HIROAN | 小銭入れ |
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仕様 | 小銭入れ |
サイズ | 90x60x25mm |
素材 | 渋鞣しボーデットレザー |
生産国 | 日本 |
価格 | ¥ 10,100 |
贅沢な一枚革が使用されている小銭入れですね。
折り紙のように折り重ねているので、マチの部分が重なりあって少し厚みがあるのが気になるかな。
小銭入れのデザインは文句なしで特注品のスナップボタンがいいアジを出しています。
ベタ貼りで両面が表革になっている関係もあって、どこを見ても革の裏面が見えないのが面白いですよね。
構造上、普通の小銭入れよりも使いにくいので少々の慣れが必要になります。
HIROANの名刺入れ
HIROAN | 名刺入れ |
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仕様 | ポケット5 |
サイズ | 110x73x12mm |
素材 | 渋鞣しボーデットレザー |
生産国 | 日本 |
価格 | ¥ 15,100 |
長財布と同じ厚みなので、もし買うなら財布と名刺入れを一緒に揃えるとカッコイイですよね。
通常よく作られている名刺入れと違って、厚みを出さないためにマチがありません。
あまり名刺を入れることができないのが弱点ですけど、スマートに魅せるなら最強の名刺入れじゃないでしょうか。
薄さを求めているので、ベタ貼りだけじゃなくシャンタンを使って厚みを稼いでいるのもポイントです。ポケットの数を減らせばシャンタンを使わなくても良いんでしょうけど、そのおかげで使い勝手も悪くなっていません。
やたらと手の込んだ名刺入れなので、使うたびに新しい発見があると思います。
オシャレが分かる人はこの名刺入れの凄さが分かるでしょう。
まとめ
こうして見てみると、博庵の財布は常軌を逸した情熱をかけて作られています。
3世代続いた財布職人の血がそうさせるのかは分かりませんが、この作品たちからは製作者の並々ならぬ狂気を感じます。
今までは薄い財布といえばファーロが定説になっていましたけど、HIROANの財布も十分同じ土俵で戦えるでしょう。
久々に隙のない財布を見たような気がします。
ハイブランドに飽きた人たちはこういう財布に目を向けて欲しいですね。