周知の通り、コードバンは財布に使われるなかでも最高峰の革です。
見た瞬間に分かる高級感、誰もが憧れる革。
ですが、同じコードバンという名前でも革の作られ方によって品質やランクが分かれるのは知られていません。
ということで今回は、信頼できる昔からの定番のコードバン長財布とともに、失敗のない選び方をご紹介します。
コードバンの財布を購入する前に
コードバンとは馬のお尻の革(すごく丈夫)を加工したもので、一般的な革とは一線を画します。
牛革と比べて綿密できめ細やかな繊維のため、質感が非常に良く、強度も強く、耐久性も抜群にあります。
ですが、特殊な農耕馬からしか採ることができず、さらに年々生産量が減ってきている貴重な素材でもあるのです。
日本でも入手困難な状況が続いているため「入荷すれば即完売」というブランドも少なくないのが現状です。
そして、コードバンには注意するべきポイントがいくつかあります。
※コードバンの工場見学に行ってきました。
⇒【レポート】コードバンってどうやって作られるの?新喜皮革へ見学に行ってきた話
コードバンには種類がある
コードバンの財布を探したことがある人ならご存知の通り、コードバンの財布でもピンからキリまで値段が幅広く存在しています。
その理由としては、使われているコードバンにもランクがあるからなのです。
- シェルコードバン
- 水染めコードバン
- 顔料染めコードバン
- 牛革をコードバンと呼んでいる
上から値段が高い順番で並べましたが、僕らが通常コードバンと呼んでいるのは1と2、経年変化が期待できない3のコードバン、一番下にいたってはコードバンに似せた牛革です。
ただ、残念なことにこれらは見た目がよく似ているため、普通の人には見分けがつきません。
3、4に関しては長く使っているうちに「あれ?これ本当に高級革なのかな?」という感じで劣化してきます。
革財布は販売に際して細かい規定がないため、ショップ側からすれば言ったもん勝ちになっているのです。
だからこそ、コードバンの財布を買う時は信頼できるショップを選ばなければいけません。
高級感や風合いを求めるなら1と2を選ぶのが正解です。
1,シェルコードバン
いま取り扱われている中で最高級のコードバンです。
ホーウィン社というアメリカで100年以上の歴史を誇る老舗タンナー(革業者)が販売しているシェルコードバン。
ベジタブルタンニン鞣しで鞣したコードバンを長時間かけてオイルを染み込ませているので、手触りがよく、エイジングするにしたがって鈍く輝きます。
また、ホーウィン社以外でもシェルコードバンという名前を使っていることがありますが、これはシェルコードバンというのが元々の素材を指す言葉だからだそうです。
素材の減少にしたがって、革財布よりも革靴へ在庫が流れているらしく、ホーウィン社製のシェルコードバン素材の財布が極端に手に入らなくなりました。
買うなら「その日在庫があるうち即決」に、が合言葉の希少素材です。
2,水染めコードバン
日本製コードバンの最上級で、シェルコードバンに勝るとも劣らないのが水染めコードバンです。
海外製の革と比べると、日本の革は関税が掛からないのでよりも安く見られがちですが、間違いのない一級品です。
新喜皮革という姫路の老舗タンナーが作っていて、
- 新喜皮革製の革を、新喜皮革で仕上げたものが通常品
- 新喜皮革製の革を、レーデルオガワが仕上げたものが高級品
とされています。
アニリンと呼ばれる染料を使った水染め、通称アニリン染めが施された雰囲気のある革。
透明感のあるエイジングで所有感を満たしてくれます。
根っからのファンも多く、コスパのいいコードバンとしても注目を浴びていますが、やはり希少なのは変わりません。
3,顔料仕上げコードバン
安価で大量に作られているタイプの顔料染めコードバン。
前述のシェルコードバンや水染めコードバンと比べて、表面を顔料でコーティングしているのでエイジングが期待できない反面、とにかく丈夫で、キズや水に強い特徴があります。
子供用の高級ランドセルで使われている「本物コードバン」もこちらの顔料染めになります。
安価な顔料染めとはいえ質感はコードバンに似せられているため、パッと見で見破るのは不可能でしょう。よく出来ています。
エイジングの代わりに、数年で表面が割れたり剥げたりしてくるのが難点です。
3万円以下で売られているような格安コードバンの財布は、この顔料仕上げのものが多い印象です。
4,コードバン風の牛革
コードバンと名乗りながら、じつはそうではない不思議な存在。
3で紹介した、顔料染めコードバンに似せている、牛革をコードバン風に仕上げた素材のことです。
耐久力が馬のコードバン層と牛革では段違いなため、1~3はコードバンですが、こちらの4に関してはまったくの別物なのです。
革素材にはまだ細かい決まりごとがなく、コードバンと名乗っても詐欺にならないのを悪用した業者の悪知恵ですかね・・・。
とくに、アマ◯ンなどで売っている中国輸入系のものと、1万円以下のコードバン財布には注意が必要だと思います。
人気のコードバン長財布13選!
ということで、ここから先はコードバンの長財布を紹介していきます。
信頼できるブランドの定番商品(ロングセラー商品)だけを厳選しているので、どれも素性はシッカリしたものばかり。
ということで、選び抜かれたダンディーでセクシーなコードバンの財布たちです。
予算別で安いものから順番に並んでいます。
それでは行ってみましょう!
1,フライングホース
フライングホース | 長財布 |
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仕様 | 札入2、小銭入、カード入18、ポケット5 |
サイズ | 90x190x25mm |
素材 | 顔料染めコードバン / 牛革 |
生産国 | 中国 |
価格 | ¥21,600 |
トップを飾るのはフライングホースの長財布!
使われているコードバンは、今回紹介する中で唯一、「宮内レザー製の顔料染めコードバン」です。
買いやすい手頃な価格設定なので、オシャレなビジネス向け財布を安価に手に入れたい人には最適でしょう。
収納力が多く使い勝手も◎、いつでも手に入るというのもフライングホースの利点ですね。
また、顔料染めなので外装に経年変化を期待してはいけませんが、磨いたら光るので手入れはできます。
一生使えるような革財布というわけではなく、買い替えサイクルが約3年周期ぐらいの人向けの財布です。
2,フラソリティ 長財布
フラソリティ | 長財布 |
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仕様 | 札入れ、小銭入れ、カード10 |
サイズ | 190x90x15mm |
素材 | 水染めコードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥ 31,320 |
フラソリティは知る人ぞ知るマニアックなブランドです。
おどろくべきは、レーデルオガワ製のコードバン(新喜皮革の最上級仕上げ)が使われているのにこの価格。
この安さの秘密は、値上がり前のデッドストックコードバンを使っているため。
ストック品が無くなったら正規価格に戻るらしいので、ぜひ今の価格のうちに手に入れておきたい一品です。
試しに水染めコードバンを持ってみたい人などにもおすすめですね。
安価なので気軽に持てるのが魅力ですが、買い換えるときは同じ値段で買えないかも。
3,ソメスサドル ハノーバー
ソメスサドル | 長財布 |
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仕様 | 札入れ、カード入れ12、ポケット |
サイズ | 187x90×21mm |
素材 | コードバン / バッファローカーフ |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥31,320 |
日本を代表する馬具メーカーのソメスサドル製コードバンの長財布。
コードバンの種類がいくら調べても分からなくて申し訳ないのですが、日本のエルメスとまで評されたソメスサドルの実力は本物です。
官能的な曲線ラインのカードポケットがお洒落。
小銭入れはありませんが通しマチ仕様なのでお札の収納力は抜群です。
ソメスサドルは日本製でシンプル、質実剛健をそのまま形にしたような素朴な革財布ブランドです。
4,万双 水染めコードバン
万双 | コードバン長財布 |
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仕様 | 札入れ2、小銭入れ、カード10、ポケット3 |
サイズ | 190×85mm |
素材 | コードバン |
生産国 | 日本 |
価格 | ¥ 34,020 |
職人気質なブランドで知られる万双。
万双のコードバンの財布も、レーデルオガワ製の水染めコードバンだと思われます。
ハッキリと万双側では明言されていないものの、レーデルオガワの社長さんのFBで「万双のミニ財布に自分が染めた革が使われいている」と言っていることからもわかりますよね。
万双はロゴの無いシンプルさと、革や縫製へのこだわりが特徴です。
最低限のことを最高の品質で作られているこのコードバン長財布は、男心にグッと響く無骨な革財布なのです。
5,キプリス コードバン
キプリス | コードバン長財布 |
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仕様 | 札入、カード10、フリー |
サイズ | 90x190x13mm |
素材 | 水染めコードバン/シラサギレザー |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥34,560 |
キプリスではシリーズごとに素材を使い分けていて、様々な素材を使った革財布があります。
このシリーズはオイルシェルコードバンという名前がついていて紛らわしいのですが、実際にはホーウィン社のシェルコードバンではなく、レーデルオガワの水染めコードバンにオイルを入れたものです。
マニアックな素材に加えて、さらには内装にキプリス自慢のシラサギレザーが使われている贅沢な仕様。
さらにカード入れのデザインがセンス良くて個人的にツボです。
価格帯もこの仕様にしてはお手頃ですし、見た目だけで買ってしまっても後悔はないでしょう。
6,キプリス ナチュラルコードバン
キプリス | ナチュラルコードバン |
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仕様 | 札入、小銭入、カード8、フリー3 |
サイズ | 95x190x20mm |
素材 | コードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥43,200 |
こちらもキプリス自慢のレーデルオガワ製コードバンを使った長財布ですね。
ナチュラルのコードバンは素材の性質上作るのが難しいためほとんど存在してなくて、とても希少な素材なのです。
小銭入れのないスッキリしたスタイルで、カッコよく決まります。
同じシリーズでコインケースも出されているので、一緒に揃えて持つとすごくオシャレだと思います。
今まで見てきたコードバンの中で一番エイジングが楽しみな素材だと思います。
7,YUHAKU 水染めコードバン
YUHAKU | コードヴァン 束入れ |
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仕様 | 札入れ、カード12 |
サイズ | 185×85×10mm |
素材 | 水染めコードバン |
生産国 | 日本 |
価格 | ¥ 44,000 |
水染めコードバンという触れ込みですがこちらは、YUHAKU(ユハク)が独自に水染めを施したコードバンです。
コードバンを手染めで一点一点濃淡を付けて染められていて、妖しい大人の色気が漂っています。
染め方1つでここまで変わるのが面白いですね。
僕も一つ持っていますがとても発色が良いです。・・・その分扱いに気を使いますが。
入荷から売り切れまでが早いので、予約注文が必須です。
8,GANZO 水染めコードバン
GANZO | 長財布 |
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仕様 | 札入、小銭入、カード10 |
サイズ | 90x190x18mm |
素材 | 水染めコードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥ 50,760 |
革財布といえば定番の「GANZO(ガンゾ)コードバン長財布」です。
なんといっても、GANZOは親会社が革問屋のAJIOKAなので、革質については最強クラスといっても過言ではありません。
機能性も問題なくビジネスシーンなど、どんな状況で使っても恥ずかしくないレベルの財布に仕上がっています。
ブランド力も高いので、革製品が好きな人たちから一目置かれますね。
9、ココマイスター 水染めコードバン
ココマイスター | ハイフライヤー |
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仕様 | 札入、小銭入、カード15、フリー3 |
サイズ | 93x190x23mm |
素材 | 水染めコードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥67,0008(税込み) |
革財布といえば定番のココマイスターを忘れてはいけませんね。
内装にシボ感たっぷりのオイルレザーが使われていて、外装のレーデルオガワ製水染めコードバンとの相性もバッチリ。
内外両方ともエイジングを重視した素材なのでより一層楽しむことができますね。
ただし、人気がスゴイ分だけ売り切れも早いので注意が必要です!
クリスマスやバレンタインデーなどのイベント前後には絶対に手に入れることができません。
もし買うなら早めの購入・予約を本気でオススメします。(※特に12月~4月ぐらいまでの間はまず手に入りません。)
10,ココマイスター シェルコードバン
ココマイスター | スタンフォード |
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仕様 | 札入、小銭入、カード14、フリー2 |
サイズ | 93x190x24mm |
素材 | シェルコードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥95,000 |
こちらもココマイスターですが、表裏の両面に高価なシェルコードバンを使った本格派の長財布。
コードバンだけで財布を作るのは難しく、それでいて10万をギリギリ切っているコスパの良さから、ものすごく人気が高いです。
ココマイスターの中でも水染めコードバンシリーズと同じく、入荷からの売り切れまでが恐ろしく早いです。
もともとホーウィン社のシェルコードバン自体の人気がスゴく品薄状態が続いていることもあって、余計に手に入れにくくなってしまいました。
「見つけた時が買い時」なので迷ってる暇はないでしょう。
11,GANZO シェルコードバン
GANZO | シェルコードバン2 |
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仕様 | 札入、小銭入、カード12、ポケット3 |
サイズ | 97x190x20mm |
素材 | シェルコードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥100,440 |
GANZOのコードバンシリーズでも最高峰のシェルコードバン2。
この全面どこを見てもシェルコードバンという圧倒的な存在感は威圧感すら感じますね。
革問屋でもあるAJIOKAお抱え職人の技術は、近くで見るとビックリするぐらい丁寧です。
近くに店舗があるなら、ぜひその目で!そしてその手にとって確かめて下さい!
12,キプリスコレクション コードバン
キプリス | シェルコードバン |
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仕様 | 札入、小銭入、カード8、フリー3 |
サイズ | 95x190x20mm |
素材 | シェルコードバン |
原産国 | 日本 |
価格 | ¥129,600 |
キプリスの最高級ラインになるキプリスコレクション。
お手頃価格の通常ラインのキプリスとは違い、コレクションラインは本気モードです。
キプリスコレクションは、従来品とは一線を画した品質基準で高い評価を受け続けています。
ホーウィン社のシェルコードバンの外装に、レーデルオガワのナチュラルコードバンの内装と、アメリカと日本で2種類のコードバンを贅沢に使われた長財布。
この財布がキプリスコレクターの最高峰ですが、素材減少の煽りからか、今は生産をストップしているようです。
まとめ
いかがでしょうか。
コードバンと一口にいってもたくさんの種類があって選びきれません。
こうやって選んでいるときは本当に楽しくて、あっという間に時間が過ぎていってしまいます。
革のことをよく分かっていないブランドや、なんでもいいからコードバンと名乗っているブランドも多いのですが、今回紹介した長財布はどこもハイレベルな定番商品だけをチョイスしています。
とりあえず無難で高級な財布が欲しいという人であれば、
上記3ブランドの財布を選んでおけば間違いないと思います。
個人的には「ココマイスターのシェルコードバン」の財布が気になっていたり。。。(超人気商品なので)
ということで、大人の色気漂うコードバンの財布でした。