革財布の手入れは難しそうに見えますが、手順さえ守れば怖いものではありません。
とくに特別なことをしなくても、基本さえ抑えておけば大丈夫なのです。
今回は5年間ノーメンテの革財布(ヌメ革)を手入れしますが、ほかの財布も要点は一緒なので参考にしてください。
僕が普段やっている、とても簡単な財布メンテナンスの方法をご紹介しましょう!
革の手入れ前の注意点、気をつけるポイント!
- 手で触っているだけで大丈夫
- 顔の脂を塗ればいい
- ハンドクリームでOK
- 革に手入れは必要ない
まず最初にこれだけ言わせてください。
革製品は人によって手入れ方法が違います。みんな違ってみんないい。正解はありません。
ですが、あまり良くない方法もあります。
例えば、手の脂、顔の皮脂などは革表面の乾燥を防いでくれる代わりに、脂自体が酸化したり、雑菌が湧いたりして革にダメージがあります。
また、サラダ油などの植物油やハンドクリームなどは酸化して革を傷めてしまうものもあります。
革の手入れで専用クリームを使うのにはちゃんと理由があるわけです。
保湿クリームと艶出しクリームはちょっと違うよ
クリームは大きくわけると、保湿系クリームと、艶出し系クリームの2種類があります。
- 保湿系のクリームは「マスタングペースト」
- 艶出し系のクリームは「コロニル1909 シュプリームクリーム デラックス」
20種類以上使ってみた経験上、メンテが初めての人には上記を勧めています。
マスタングペーストは艶消しマットな雰囲気で、シュプリームクリームはツヤツヤに、それぞれ仕上がり具合が違うのでお好みで使ってみてください。
両方とも普段のメンテで使うぶんには十分な効果があります。
ほかにもレザー用として多種多様な製品があるので、用途と好みで決めてもいいと思いますよ。
色が変わるのには注意
革にクリームを使うと、革の乾燥具合によっては色がかなり濃くなることがあります。
飴色に変化したエイジングが好きな方は大丈夫だと思いますが、今の色がお気に入りの人は塗る量を極力少なくしたほうがいいかもしれません。
経験上、革へのオイルの浸透量がそのまま色の変化に繋がるんだと思っています。
色落ちには捕色クリームを
色付きレザーを使っていると気になるのが革表面のスレや色落ちですよね。
そういうときは革靴用の補色クリームを使ってみてください。
最初は少し薄めの補色クリームを選ぶのが失敗しないコツです。
革財布の具体的なメンテナンス手順
さて、一通りクリームの説明が終わったところでメンテナンス方法です。
今回は偶然、義兄の財布がノーメンテで5年ほど放置されていましたのでこれを使いましょう。
もれなく革表面がカッサカサに乾燥しています。というか、乾燥しすぎていてところどころスルメのような質感に。笑
どこまで元に戻るか分かりませんが、いつも僕がしている方法で手入れしてみますね。
- ブラッシング
- 水拭き
- 油分補給(クリーム)
僕の財布メンテナンスはこの3点を基本にしています。
革財布の手入れは、少しでも長く使えるようにすることがメインになります。とくに決まった手順はないと思っています。
革靴と違ってギンギンに光らせるわけでもないしワックスは使いません。
たまに聞く「◯◯の方法じゃないとダメ!」というのは革のことを知らないメーカーの回し者だと思っています。笑
なので、今回のケースを参考に自分だけの手入れ方法を作り出してみてください。
それでは早速メンテしていきましょう!
※今回使ったグッズはページ最後に紹介しています。
1.ブラッシング
うわ、汚・・・やりがいがあるなぁ・・・。
ということで、最初はホコリを落とすためにブラッシングから始めます。柔らかめの馬毛かヤギ毛のブラシを使ってください。
革財布はかなり丈夫に作られています。ブラッシングしすぎて壊れるようなことは無いので、隅々まで念入りにブラシをかけてください。
ステッチ(縫い目)のスキマや、革と革の段差などはホコリが溜まっています。しっかりと掻き出すようにシャカシャカしましょう。
(※豚毛ブラシで縫い目をこすると糸がボロボロになることがあるため注意)
物理的な汚れは、次の水拭きで取れるので心配しなくても大丈夫です。
2.水拭き
(※革の色や種類によっては染み込んでムラになることもありますので、目立たない場所で試してからにしてくださいね。)
タオルは最低でも2枚用意します。1枚目が水拭き、2枚目が乾拭き用です。
まずはタオルを水に濡らした後、ギュッと硬く絞って出来るだけ水分を落としましょう。
水拭きは革の表面についている物理的な汚れを落とすのと同時に、革に潤いを与える重要な作業です。
※最近色々実験していますが、じつは革には油分だけで十分かも知れない、という結果になりそうなので、水分を与えることに関しては保留にさせてください。つまり汚れ落としのためだけに水拭きをします。
革は生産工程で水にさらされて鞣されます。後で油分補給をするなら、少々の水分は問題になりません。
ただし、水分を吸い込んだ革は弱くなります。
強くゴシゴシこすると革表面がボロボロになることがあるため気をつけてください。
※水拭き後の乾拭きについて
水拭きが終わったあとは余分な水分を拭き取るために乾拭きをします。
とはいえ、水分を含んだ革は、ゴシゴシすると革表面を傷つけてしまう可能性があります。
革表面の様子を見ながらフワッと拭くのがベストです。力加減は、赤ちゃんの肌を拭くときのような優しさで。
また、革の種類によっては水が染み込んでムラになるように見えることもあります。
大体の場合は乾くと均一な表面に戻ります。
ぶっちゃけ、水分が残っていないのであれば乾拭きはなくても大丈夫です。
3.オイルをうす~く塗る
上記画像はカサカサすぎてたっぷり塗っていますが、目安はクリームを米粒1、2粒ほど。指でもブラシでもいいのですくい取って、少しずつ伸ばしていきます。
ペネトレイトブラシは使わなくても大丈夫、指でクリームをすくい取って塗ったほうが、体温で温められてキレイに伸ばしやすいです。
あと、革財布に使われている革は基本的に大丈夫だと思いますが、革の種類によってはクリームが入ることで柔らかくなりすぎることがあるようです。
安いブーツなどでよくあるパターンですが、乾燥させて強度を出している革などは危険な予感がしますね。
革の種類がよく分からないのであれば、最初は極力薄くクリームを塗っておけば大丈夫です。
今回はクリームを薄く塗りすぎてしまったなーと思えば、次のメンテまでの間隔を短くすればいいだけなので心配はいりません。
※シュプリームクリームの使い方
万能なシュプリームクリームですが、革によっては塗りすぎるとものすごく曇ることがあるため、やはり最初は少量からスタートしてください。
メンテ回数が5回を超えるころには適切な量が把握できると思います。
今回の財布はパッサパサの革(ノーメンテで5年放置されてた)だったので、ガンガン塗り込んでいます。
もし塗りすぎて曇ってしまっても、2、3ヶ月もすれば元に戻るので安心してください。
4.クリームをブラッシングでさらにうす~く伸ばす
クリームを塗り終わった後は、もう一度ブラッシングして均一に慣らしていきます。
このときに全体の様子を見ながら、足りないなーと思ったところに足しておくといいですね。場所によってはものすごく吸い込むところがありますので。
あと、隙間や段差に入ったクリームを見つけたら、ブラシで掻き出しておかないと白く残ってダサくなります。
こういう細かい気使いがメンテ後の姿をカッコよくするコツですね。
5.一晩待つ
一通り終われば、あとは浸透したクリームが落ち着くまで一晩待ちましょう。
タンナーが革を鞣すときはオイルを入れて1ヶ月ほど置くぐらい、革に油分が馴染むのは時間がかかるようです。
とはいえ、ぶっちゃけ使ってるうちに馴染んでくるので、この工程は飛ばしても問題ないと思います。笑
僕はしっかり時間を置く派なので最低一晩は寝かしますけど。
7.ミッションクリア!!
最後に艶出しのブラッシングをします。これが本当に楽しい!
一晩置いて表面が曇った状態になっていると思うので、一心不乱にシャカシャカして光らせましょう。
みんなもそうだと思いますが、僕も艶出しのブラッシングが一番楽しみでブラシをかけたそばから光っていくのは感動します。
蜜ロウ系が含まれているクリーム(シュプリームクリームなど)を使っていると、最後にヌメッと光るので気持ちいいです。
愛情を込めれば答えてくれる革財布って最高ですね!
大事な革財布のお手入れ道具は?
- 馬毛ブラシ
- 革用のクリーム(もしくはオイル)
- キレイなタオル(ウエス)
今回の革財布手入れで用意したものは、シンプルに3つだけ!
ブラシもクリームも一度買えば数年は買い替えが必要ないので、かなりコスパがいいです。
メンテナンスの間隔は3ヶ月~半年に一回、今回のようによほど酷い状態じゃなければ季節の変わり目にササッとオイルを塗るくらいで十分でしょう。
また、手入れ道具は上記以外にも色々あるので、道具マニアの人は「革靴の手入れ方法」などで検索してみてください。沼が広がっていますよ。笑
1,馬毛のブラシ
無くてもいいけど、あると圧倒的に便利なのが馬毛ブラシ。
10種類ほど使ってみましたが、↓で紹介しているコロニルというメーカーのものがオススメです。
毛の密度がギュッと詰まっているのでブラシとして使いやすく、しっかり摩擦が起きるので仕上げにもバッチリ。
コロニルのブラシなら、その辺のスーツ屋さんの革靴コーナーに置いているので用意するのも簡単だと思います。
じつはあまり知られていませんが、ブラシもエイジングしてきていい感じに馴染んでくるので、ブラシの経年変化も楽しめたりします。
2,革用のクリーム
僕が財布をオイルアップするときは、馬毛ブラシと同じメーカー、コロニルの1909シュプリームというクリームを塗っています。
シダーウッドオイルが入っていて良い匂いがするのと、ヌメ革にスーッとナチュラルに染み込んでいくところがお気に入り。
いかにも革に良いクリームという感じがして大好きです。
このシュプリームクリームは、マイナーチェンジ前のディアマントという名前だったときから使っているぐらい信頼しています。
逆に、一般的に言われるミンクオイルは溶剤が入っているので使いません。天然成分にこだわっているわけではないですが、変わった成分が入っているものは質感が変わるので嫌いです。
オイルもたくさん種類があるので、色々使ってみてお気に入りを探すのもアリだと思いますよ。
参考:革マニアが選んだレザークリーム12選!大切な革に愛情とメンテナンスを!
3,キレイなタオル、ウエス
タオル(ウエス)は水拭き用と乾拭き用を、それぞれ2枚あると作業がはかどります。
百均で売っている「台所ふきん:マイクロファイバータオル」がすごく使いやすくてオススメです。
2枚新品でそろえても200円なので使い捨てでもいいぐらいですね。(僕は毎回洗って使ってます)
ちなみに、キレイなタオルでないとダメということでは無いですが、日頃から大切に使っている財布なので、汚れた雑巾で拭きたくないという思いがあります。
使い古したタオルでもキレイに洗ってあれば問題ないです。
また、各メーカーから拭き上げ専門のクロスも出ていますので、気になる人は使ってみてください。
ブランド品など大事な財布はプロに頼もう!
ここまで手入れの方法を紹介してきましたが、「個人で手に負えそうにない」と思ったら、プロに頼むのも1つの手です。
じつは意外と、お問い合わせから「○○が得意な業者さんを紹介してください!」って来るんですよね。
財布のような革小物なら1個16,000円(送料無料)と値段は張るものの、一生モノとして添い遂げようとしている財布なら残りの人生を考えると実質無料みたいなものでしょうし。笑
自分でやれば道具代だけですし、かといって失敗して新しい財布を買うよりも安いですから、高級車の洗車を自分でするのか洗車屋に頼むのか、みたいなケースバイケース。
ベテラン職人が革表面のクリーニングから擦れや傷の修復作業まで、プロが一通り手入れしてくれるオールインワンパックです。
- 思ったよりキズやスレが多くて直らない
- 落書きやシミなどが消えない
- ファスナーや金具が劣化・破損してしまった
普段は自分で手入れしている方も、こういった自分でどうしようもない場合にはプロに頼んでみるのはアリです。
≫ 詳細はこちらから
まとめ
初めてのメンテだと、水拭きするときとクリームを塗るときに緊張すると思いますが、それ以外は失敗するところも無いので思い切ってやってみてください。
いまのところ財布の手入れはこれが正解!というものはないので自分だけの方法を見つけてください。人の数だけ手入れ方法がありますからね。
もしくは、革財布を買ったお店にメンテ手順を聞いてみるのもいいと思います。GANZOみたいにクリームを塗ってくれることもありますし、店員さんと仲良くなるチャンスです。
また、手入れ専門の業者もいるので心配性な人はそちらを利用してみるのも手かと。高級品だと躊躇しちゃいますよね。
というわけで革財布の手入れ方法の紹介でした。
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