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コラム

「レーデルオガワ」はどんなタンナーなの!?という疑問を解決します!

革のダイヤモンドと呼ばれる、馬の革からごく僅かしか取れないコードバン。一流の男なら一度は手にしておきたい素材です。

そんなコードバンの財布を探していたら必ず目にすることになる「レーデルオガワ」。

「当社はレーデルオガワ製のコードバンを使っています」これを喜々として記載するショップが本当に多いですよね。

そこまで書いているにも関わらずレーデルオガワが何者なのかは説明がほとんど無い。

もしかしたら革業界では周知の事実なのかも知れないが、僕たちには分かりません。

そこで国内最強のコードバンタンナーと呼ばれるレーデルオガワを調べてきました。

少し長いですが、どうか最後までお付き合い下さい。

 

レーデルオガワって何者?

https://leder.co.jp/

こちらはレーデルオガワさんのホームページです。

ぶっちゃけ、ほとんどの革業界のサイトって思いが先行しすぎていて内容がよくわからないのですが、レーデルオガワさんも例に漏れず。

よくわからないので解説していきましょう!

 

国内最上級のコードバン仕上げタンナー

「水のように透き通り、宝石のように輝くどこにもないコードバン」

1971年にオガワ染工所としてスタートし、20年後にアニリン染めコードバンを作り出すことに成功したレーデルオガワ。

このアニリン染めのおかげで、ランドセルに使われる丈夫な革というだったコードバンのイメージを一新させたのです。

いま革のダイヤモンドと呼ばれているコードバンの美しさを世の中に広めたのが、レーデルオガワなんですね。

現在は3代目社長が継いで、精力的に活動しています。

 

フィニッシャーとは

タンナーというと革を鞣すところだと思っている人がほとんどだと思います。

しかし、レーデルオガワはコードバンの仕上げと染色を行う「フィニッシャー(皮革を仕上げる業者)」と呼ばれる部類のタンナーなのです。

タンナーというと鞣し業者というイメージがあると思いますが、レーデルオガワのようなフィニッシャーもタンナーに含みます。

鞣し工程はやっていなくて、元になるコードバンを「新喜皮革」から仕入れています。

レーデルオガワのように仕上げタンナーの名前を取り上げられることは稀ですけど、僕たちの目に触れないだけで、実際にはフィニッシャーはほかにも数多く存在しています。

ただし、現在コードバン専門のフィニッシャーをしているのはレーデルオガワだけです。

参考:新喜皮革の工場見学の記事
【レポート】コードバンってどうやって作られるの?新喜皮革へ見学に行ってきた話

 

レーデルオガワの染色技術

レーデルオガワのコードバンでよく言われるのが発色の良さ。

布のようにかんたんに染まるならまだしも、革の染色は個体差があるため色を出すのが難しく、老舗ならではの色染め技術を使っているそうです。

アニリン染めと呼ばれる染料を使った色付けで、透明感のある奥行きが表現されています。

門外不出の企業秘密ですが、長谷革さんのFacebookで「革まめ(革の豆知識)」として少しだけシェアされていたので紹介します。

 

まず基本の革染めをおさらいしましょう

基本的に、革を染めるときに使う方法は、

  • 顔料染め【不溶性】
  • 染料染め【可溶性】

この2種類がメインになります。

顔料染めはペンキのようなもので表面に薄く塗ることで、全体が均一に染まる代わりに、革の持っている表情がなくなります。

染料染めは水に溶ける塗料を使って革に染み込ませることで着色します。表情が生きますが、そのぶん扱いが難しいです。

これを念頭に入れて下記を読んでいくと、レーデルオガワが挑戦的な手法をたくさん取っているのがわかると思います。

 

アニリン染め

レーデルオガワの代表作「アニリン染め」、透明感のあるコードバンといえばもはやこれ一択ですよね。

革メーカーによっては水染めコードバンと呼ばれるアニリン染め。アニリン染め=水染めという訳ではなく、水染めの中の一部としてアニリン染めが有ります。

水性染料を8〜14回に分けて色を染み付け、更に6〜10回に分けて表面を素上げに限りなく近い状態に保ちつつ、耐傷水光加工を施しているそうです。

 

草木染め

  • 藍染(あいぞめ):藍色 ネイビー 紺の中間色
  • 茜染(あかねぞめ):赤 ピンク オレンジの中間色
  • 柿渋染(かきしぶぞめ):黄 茶 黄土の中間色

レーデルオガワでは、3種類の草木染コードバンがあります。

革の中で起こる化学反応を利用して染色するということで、かなりマニアックな染め方に分類されます。

その染色工程は二十数回になり、レーデルオガワのコードバンの中で最も多くの手間、時間を要します。

 

塗料染め(とりょうぞめ)

これが顔料染めと呼ばれるほうですね。

レーデルオガワの顔料染めは聞いたことがないので、作られているようですが使い道はよくわかりません。

使用用途で顔料染めコードバンがよく使われているのはランドセルや靴でしょうか。

キズや摩耗に強いですが、その分経年変化が少ないのが特徴です。

 

丘染め(おかぞめ)

革の表面を丘に見立てて、その表面だけを染める技術です。

丘(おか)だけ染めるので丘染め。

顔料染め、染料染め、両方で作られます。

 

丸染め(まるぞめ)

丘染めと違って、革を丸々染めてしまうので丸染です。

染料にドブンと付けてしまう染める方法ですが、革の芯までは染めません。

革の芯まで全て染めてしまうのは芯通し(しんとおし)と言います。

 

裏白(うらじろ)

革の片面だけ染める方法で、水染めと同じ定義で使われているようです。

片面はコードバンの地の色が出るので、白と言うよりもベージュに近くなります。

 

UP

厳密に言うとこちらは染め方ではなく、革の作り方と言ったほうがいいかもしれませんが一応紹介しておきます。

UPとはUPPER LEATHERの事で、靴の甲の部分に使うための革です。

通常レーデルオガワでは一次鞣し(なめし)された革に再加脂(油入れ)します。

UPはその後に秘伝の油をもう一度入れます。この工程により強度は増し、質感はしっとりとした落ち着いたモノとなります。

元来靴用として加脂染色していたUPですが、最近は革財布などの小物を創るのに利用されています。

 

塗装後の仕上げ

塗装後の仕上げ方法です。用途に合わせて色々な仕上げ方法を選択されています。革は仕上げ方法でも表情が全然違うので面白いですね。

マット仕上げ

ツヤ無しでの仕上げ方法です。

使っていると経年変化でツヤが出てきますが、落ち着いた雰囲気が欲しい時にぜひ。

 

ツヤ有り仕上げ

表面を宝石のメノウでグレージング(磨く)することで、コードバンに独特のツヤが出てきます。

革のダイヤモンドと呼ばれる由縁がここに有ります。

 

アニリン仕上げ

アニリン塗装での仕上げです。

透明感のある仕上がりが特徴で、他の塗装に比べて塗膜の耐久性が低く、取り扱いに注意が必要です。

 

WAX仕上げ

各タンナーが一子相伝で受け継ぐ秘伝のWAX仕上げです。

レーデルオガワのものは、一般的に市販されている革用のWAXとは別次元の仕上がりをするみたいです。気になります。

 

ラッカー仕上げ

ラッカー塗料で表面を仕上げる方法で、顔料染めの一種です。

顔料染めの中では塗膜が薄く作れるのが特徴です。

 

ウレタン仕上げ

ウレタン樹脂を使って表面を仕上げる方法で、こちらも顔料染めの一種です。

顔料染めの中では耐久力が強く、ハードな使い方をされるところに使われることが多いです。

 

アニリン染めのメリット

こちらの動画で語られるアニリン染めのメリット。

  • 革の美しさや透明感を引き出せる
  • グレージングで、オイル染めよりも密度を高めることができる

水染めコードバンのほうが強くなるというのは新発見ですね。

新喜皮革のオイル染めのコードバンから比べて、レーデルオガワはアニリン染めにすることでグレージングの密度を上げて硬く締めることができるそうです。

こうして見てみると1枚の革にも様々な工夫が詰め込まれていますね。

 

レーデルオガワの加工工程

FACEBOOKに加工工程が書かれていたので情報として載せておきます。

なんかこういうの発信してくれているの信頼感あっていいですよね。ちょっと興奮します。

■革の仕入れ
まず最初に、鞣された状態の革がレーデルオガワに入って来ます。この革は新喜皮革から仕入れられています。

■職人による選別
これを熟練の職人が一つ一つ手作業で選別していって、状態の良い革と悪い革に選別していきます。極上のコードバンはなんとベルト用として使われるようです。ベルトは長さが必要なので、良い状態の面積が広くないと加工出来ないわけですね。勉強になります。

■コードバンへ加工
職人が選別した革をレーデルオガワ秘伝の技術で仕上げていきます。乾燥、加脂、削りだし、グレージング、様々な加工を経て馬の尻の革がコードバンへと生まれ変わっていきます。

■日本一の染色技術
太平洋戦争の最中に編み出したというコードバンの染色技術。残念ながら発案者の方は亡くなられたようですが、その技術と魂は後世の職人へ受け継がれています。
クロームなめし用の染色技術をタンニンなめしへと使う事で、鮮やかな発色が出来ているようですが、詳細は企業秘密とのことです。

 

ちょっと豆知識

面白い話を見つけたので転載しますね。

今まで「コードバンの表面をなんという名前で呼べばいいかか?」という長年の疑問が一気に解けました。

一派的な革とは違い、表裏が逆になっているコードバン。どのように呼び分けているのか。

一般的な革の塗装面、コードバンにとっては裏面、どちらもギンと呼びます。

トコと呼ぶこともありますが、基本的にコードバンは、塗装面はカネ、裏側はギンと呼びます。

ちょっと通な、言い方をすると…

一般的な革の場合:裏っ返しになっている革を指さし…
「ちょっとその革のギン面見せてもらえます?」

コードバンの場合:コードバンは削ってコードバン層を出しているので…
「このコードバン綺麗にカネが出ていますね♪」

これであなたもコードバン通です(笑)

~長谷革さんのFacebookより転載~

ギン(銀面)は革の表層を差す言葉なので、コードバンも牛革もおなじくギンでよくて、裏面をコードバンはカネ、牛革はトコ(床面)と呼ぶんですね。

ただし、職人の間での呼び方なので、ショップで使っても店員さんは分かってくれないかもしれません。笑

 

まとめ

レーデルオガワは世界一のコードバン染色屋といっても過言では無いです。

コードバンの染色を生業にしている業者は少なく、その染色能力は世界でも指折りの実力を持っています。

革工房などの加工屋はレーデルオガワのコードバンに絶対の信頼を置いているし、レーデルオガワ製のコードバンを使っていると言う事をわざわざ伝えることが製品の良さをアピールすることにもなるわけですね。

というわけで、レーデルオガワのご紹介でした。

「レーデルオガワのコードバンが使われている財布の記事」

 

~今回参考にさせて頂いたサイト様~

レーデルオガワ取締役:
長谷革屋Facebook長谷革屋アメブロ

土屋鞄製造所:
読み物

GANZO:
CORDOVAN—Dyeing section 引き継がれた水染め

一般社団法人 日本皮革産業連合会:
皮革用語辞典

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