いやー、気難しい革ですね。コードバンって。
ということで、手持ちのコードバン財布に水ぶくれができてしまったため、元のかっこよさを取り戻すために手入れしていきましょう。
- 水ぶくれの処理
- 色が薄くなった場所の補色
- コードバンの艶出し
の3点をメインに解説していきたいと思います。
今回手入れしているのはシェルコードバンですが、水染めコードバンも同じようにメンテナンスすればキレイになりますよー。
追記:まずは現在の姿をどうぞ
今回の記事の方法で手入れしてから3ヶ月後の姿です。約1ヶ月に1度、薄くクリームを塗っているぐらいしかしてませんがこの輝きですよ。
いやー、これぞコードバンって感じの光り方ですよね!
この次の見出しから先を見てもらえばわかりますが、元々はボロッボロ!の状態でしたがここまでキレイに復活できています。
もし水ぶくれで困っている人がいたら、この内容を実践して、本来のカッコいいコードバンを取り戻してあげてくださいね。
シェルコードバンの財布を手入れしていきます
「ひょええええ!!!」
シェルコードバンの財布を水で拭いたらどうなるんだろ?という出来心で水拭きしたらえらいことになりました。
キレイにしたい気持ちに負け、好奇心が疼いてしまった結果が上記画像です!笑
水に弱いのは知っていましたが、コードバンってこんなに水に弱いんかーーー!!!
やってしまったものは仕方ないし、コードバンの水ぶくれを直しながら手入れしていきましょう!
※全体的に革が剥がれているように見えますが、適切に処置すればちゃんと治ります。
今回手入れする財布の詳細
用意したのはココマイスターの「シェルコードバン ジョンブル」です。
いい財布なんですけどねー。コードバンをキレイに保つのって大変なんですよねー。
高級皮革のコードバンは意外と良い値段がするため、丈夫な素材だと思って買う人も多いようですが、実際はかなり気難しい子なんです。
その代わりにエイジングは極上なので、革が好きな人が最後に行き着くのがこのシェルコードバンというわけです。
革が好きなじゃない人や、手入れに興味の無い人は間違っても買わないようにしてください。
コードバンの水ぶくれ処置方法
コードバンの水ぶくれを消すのに、こういった水牛の角で作られたスティックを使います。
革を擦るために使うので、表面がツルツルしているものだったら、ガラス板とかスプーンとか何でもいいみたいです。
僕はマッサージ用の「かっさ棒」というものを購入しました。
これ一本で、大きい面積から小さい入り組んだ場所まで、汎用性が高いのでオススメですよ。
まずは水膨れをしている場所をざっくりと慣らしていきます。
乾燥している状態からスタートしても大丈夫ですが、「キズがつくかも」と気になる方は摩擦軽減のために薄くクリームかワックスを塗っておいてもいいと思います。
最初はあまり力を入れずにクルクルと回すイメージでいきましょう。
いきなり強く擦ると傷になったりするかもしれないので、水ぶくれが治るギリギリを見極めるように少しずつ力を足していくとうまくいきます。
だんだん光沢が出てきてテンション上がりますねー!
水ぶくれだけじゃなく、小さなキズも頑張れば消えますが、深い傷は消えないので注意。
なんとなくいい感じになったなー(80%ぐらいの満足度)という感じの鈍いツヤが出てきたところで一度やめておきましょう。
ここでテッカテカにする必要はありません。
あとでワックスを塗る工程でも乾拭きするし、クロスで撫でたときも表面がキレイになるから。
手入れは何回やり直してもいいので、こういう繊細な作業をするときは80%程度で終わらせておいて先に進めたほうが上手くいきます。
※水ぶくれはどうして起こるの?
コードバンってツルツルしているように見えて、じつは起毛革に近い存在なんですよね。
タンナーが鞣したコードバンにメノウで圧力をかけて毛を寝かしていて、あのようなツヤをだしているわけなのです。
水ぶくれは革がダメになっているのではなく、元の状態に戻ろうとする作用が働くんですよね。
つまり、今回のように硬いもので擦るのは、じつはコードバンタンナーと同じようなことをしているだけなのです。
黒い財布は補色しておくと仕上がりがキレイに
補色用にシュプリームクリームデラックスの黒を用意しました。
財布のエイジングを考えると補色するのはもったいない気もするのですが、ビジネス向け財布のダーク系カラーは補色しておいた方がキレイに見えます。
今回のシェルコードバンは芯通し染めなのでキズでの色落ちはないんですけど、表面が日焼けなどで色のくすみが多少出ています。
この色焼けを補色することで黒特有の透明感を取り戻そうという試みです。
あと、油分と水分を両方含んだシュプリームクリームはコードバンの毛羽立ち(厳密にいうと違いますが白くなるやつ)を抑えるのにもそれなりに効果があります。
ただ、シュプリームはたくさんのカラーが出ているため、財布と同色か、もしくは若干薄い色を選んでください。
指先に取ってクルクルと塗り込んでいきます。
指先で出来る限りうすーく塗ってください。(※ペネトレイトブラシは厚塗りになるため使わないほうがいいと思います)
体温で温まることもあって、シュプリームクリームは少量でもかなり伸びます。
指先が汚れますが、あとで水洗いすればキレイに落ちるので安心してください。
写真を撮りながら塗るのが難しい。。。
こういうレザークリームを塗るときは毎回言っていますが、コツはとにかく薄く塗ることです。
「ちょっと薄すぎたかなー」
ぐらい薄くてちょうどいい感じです。塗ったそばから乾いていくぐらいの薄さでも構いません。
黒は色ムラが出にくくていいですねー。
全体を塗り終わったら乾くまで10分以上放置しておきます。
革表面にクリームのロウが残っていますが、ロウが残った状態で磨いてツヤを出していくので、これで正解です。
今回は黒なので片面ずつ乾かしています。
もし汚れてもいい環境や、無色のクリームを使う場合、ある程度乾いたら拭き取らずに裏面へ進んでもいいと思います。
ブラッシングは丁寧に
全体が乾いたら一度ブラシをかけましょう。(※ちなみに、今回の手入れではブラシの出番はこれで終わりです)
クリームが厚く残っている場所は乾ききっていないのですが、そのまま上からブラッシングで慣らしてしまっても問題ないと思います。
ブラシをかける向きによっては起毛が起きて白っぽくなるので、ブラッシングの方向を見極めてください。
画像では馬毛ブラシですが、シェルコードバンの場合は山羊毛のような柔らかいブラシのほうが圧倒的に向いています。
最初、いつものように圧力をかけながら馬毛ブラシをかけたら、ブラシの跡が残ってしまって消すのに大変でした。
ツヤがちょっともの足りないけど、いい感じに仕上がりました。
最初の水ぶくれしていたときから比べると段違いにカッコよくなっていますね。
でも、まだまだこれから黒光りさせていきますよ!
最後の艶出しはコードバンワックスで!
ここまでで表面を整えたら、仕上げは長谷革屋のオイルワックス!
これがまた、しっとりツヤツヤに仕上がるんですよね。
長谷革屋は、コードバン専門タンナー(革業者)「レーデルオガワ」が作ったブランドということで、使わない理由がありません!
さぁ、老舗タンナーの実力を見せてもらおうじゃありませんか。
成分は油脂と蝋。すごくシンプルで男らしい!
匂いは牛小屋をマイルドにしたような感じ。獣のニオイです。
いい香り〜、というわけではないんですけど、逆にそれが効果ありそうでワクワクします。
使用方法もいたってシンプル!
布に取って拭き上げるだけ。簡単すぎでしょ。
これは間違いようがありません。
中身はしっかりとした固形タイプ。
洗車用の固形ワックスのようにカッチリしています。
塗っていくよー
ワックス塗布用の布を何にしようか迷いましたが、柔らかい布ということで使い込んだマイクロファイバークロスにしました。
じつはこれ、100均の台拭きなんですよね。笑
磨いてみた感じ、柔らかければなんでもいいと思います。
ちなみに、今回の手入れで「革専用クロスのほうがキメ細かくて仕上がりがいい」と気がついたので、次回からコードバンに関しては専用品を使います。
ほんと気難しい革ですねー。
シュッとクロスの先でぬぐい取るようにして掬い取ります。
ワックスが硬いのでグッと取りたくなるところを抑えて、最初は様子を見ながら軽く取っていきましょう。
クロスの先にワックスがほとんど付いてないけど、これで平常運転です。
こんなに少なくても、長谷革屋のワックスはかなり伸びるため大丈夫なのです。
う、黒だから写真に撮りにくい・・・。
画像下のほう、真ん中ぐらいで色が変わっているところがわかりますか?ワックスを塗っているのは真ん中より右側です。
見にくいですが、塗った部分は透明感が復活していて、肉眼で見るとツヤツヤになっています。
全体にかるーく塗布しました。
この時点でかなりツヤが蘇っているのがわかります。
あの水ぶくれがここまで復活するなんて感動!
記事最後のまとめでビフォー・アフターを載せておきますね。
あとは磨くだけ!
シェルコードバンの場合は、力を入れず撫でるようにしたほうが透明感が出るような気がします。
もともとの革の状態でも変わるので、様子を見ながら色々試してみてくださいね。
注:コードバンは起毛素材に近くて、撫でる方向があります。キレイに光る方向を探してみてください。
ほら、見てください。
画像だと分かりづらいですが、曇りが取れてキラキラしています。
この美しさは実物を磨いた人だけの特権でしょう。
ということで、表面の手入れが終了しました。
こんなにキレイになると思っていなかったため、小一時間眺めてたり。。。楽しい!
いやー手入れって本当に良いものですねー。
残った小さなキズもスティックを使って頑張れば消えそうですが、どうせまたすぐに傷がつくだろうということで残しておきました。
追記:コードバンワックスの耐水性について
先日、雨の日に水たまりへ財布を落としてしまって絶望しましたが、コードバンワックスのおかげか水ぶくれ一つなく使えています。
多少なら濡れても全然平気ですし、コードバンの弱点である水を克服できたと言ってもいいかもしれません。
過信は禁物でしょうが、それでもこのワックスはすごいです!
ついでに内装のコードバンも手入れするよー
外装ばかり気になっていましたが、内装もよく見たら汚れているため手入れしておきたいと思います。
外側と比べてツヤがあるしキレイなんですけどね。
今回は補色するほど色も落ちてないため、コードバンワックスを塗るだけにしておきましょう。
サクサクっとワックスを塗り拡げていきます。
ふぁあああああ!
美しい・・・!!(ピントが合わない汗)
画像ではあまり変わってないように見えますが、実物はなかなかキレイに仕上がりました。満足です。
これぞコードバンっていう輝きですね。
ここから本気で手入れすればもっともっとキレイに仕上がりますが、次回のお楽しみに置いておきましょう。
ツルツルツヤツヤのコードバンガチ手入れに興味がある人は「コードバンの脱皮」で検索してみてください。
まとめ
所要時間はシュプリームクリームを乾かす時間込みで30分ほどでした。簡単ですね。
コードバンを買ったはいいものの、手入れで悩んでいる人は多いはずなので、この記事が参考になれば幸いです。
とくに今回使った長谷革屋のワックスが秀逸で、ヌメッとした輝きを取り戻すことができます。
定期的に手入れで使いたい!
▼一応、手入れ前はこんな感じでした
記事冒頭でご紹介したように、手入れ前はこんな感じだったので、めちゃくちゃカッコよくなったのがわかりますね。
また、コードバンの水ぶくれはほとんどの場合、今回の記事のようにスティックのようにツルツルしたもので擦ってからクリームを塗れば治ります。
もし諦めていた財布があれば試してみてください。
後日談
2回ほどメンテを繰り返したらここまでツヤツヤになりました。
ツヤがエグい!エイジングがすごい!!
まだまだ成長の余地を残していそうなのでワクワクが止まりません!
みなさんも最高のメンテ方法を見つけて、ぜひエイジングの向こう側を見にいきましょう!
それではまた。
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