本革の財布っていうと大体の人は牛革の財布を思い浮かべますけど、牛以外にもたくさんの革が使われているのをご存知でしょうか?
今日は革財布に使われる素材はどれくらいあるのか、をお話しますね。
革財布に使われる素材の種類
ちゃんと深掘りして考えた事がなかったのでいい機会だと思い、コンテンツとして作りました。
メジャーな皮革からマイナーなものまで、入手困難な素材、また誰も使わないような素材は除外して紹介していきます。
革だけでこんなにあるのか、と自分にとって良い勉強になったり。
大体の革は雰囲気やイメージで分かるのですが、言葉にするとまた感じが変わりますね。
牛革
まずは超メジャーな牛革からいきましょう。
牛は僕たちの生活に身近な分だけ、様々な用途に加工されています。
名前も雌雄や牛の年齢、加工の仕方で呼び方が変わってくるので、全部を理解しようとすると覚えるのが大変な皮革素材ですね。
ぶっちゃけ、ヌメ革さえ分かっていれば問題ありません(笑)。
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ヌメ革
定義が曖昧ですが、基本的には「タンニン鞣しのまま素仕上げの牛革」のことをヌメ革と呼びます。
(※鞣しって何?という人はこちらへどうぞ。)
時間を掛けてゆっくりと鞣される物や、短時間で鞣される物があるので、同じヌメ革でも価格に差がでます。
クローム鞣しよりも肉厚でキズがつきやすく、経年変化で色が変わったりアジが出やすいなどの特徴があります。
表情が出やすいので、使っている人に合った経年変化をしていきます。
幅広く使用されていて、みんなから愛されている革です。
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サドルレザー
サドルレザーとしてのキチンとした定義は決まっておらず、使っている店がサドルレザーと名乗れば、それはサドルレザーとして販売されます。
ナチュラルのヌメ革で厚みがあるものをサドルレザーと名乗っているショップもありますが、大抵の場合はオイルがタップリと入ったヌメ革の事を指している場合が多いそうです。
元はサドル(鞍)、つまり馬具に使えるくらい丈夫なタンニン鞣しの牛革の事を指していたそうです。
バイカーズウォレットによく使われているので、個人的には屈強な男のイメージがあります。
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ブライドルレザー
イギリス発祥の馬具に使われている丈夫で特殊な革です。
蜜蝋などを配合した特殊なグリースを、時間を掛けて革に染み込ませているので通常の革よりもかなり頑丈です。
新品の時に、革の表面にブルームと呼ばれる白いロウが浮いているのが特徴です。
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クロム鞣し革
ヌメ革と違って、こちらは愛称がありません。一般的に本革と呼ばれている革製品に使われていることが多いです。
大量生産が可能、ヌメ革よりも薄くて加工が簡単、薬品鞣しなので変化に強い、などの特徴があります。
なによりタンニン鞣しのヌメ革と比べて扱いやすく値段が安いので、クルマの内装からソファーまでいたるところに使われています。
アジが出ないので、財布やベルトなどの革小物には不人気です。
牛の年齢別の呼び名
- ハイドは大きな生き物の革。
- スキンは小さな生き物の革。
なので、牛は成牛の革がハイド、仔牛の革がスキンと呼ばれます。そこからもう少しだけ細かく分類されていますね。
- ブルハイド
- ステアハイド
- カウハイド
- キップスキン
- カーフスキン
それぞれに特徴があり、加工先が違います。
牛が若ければ若いほど、きめ細かいくキズの無い革が取れるので値段が高いです。
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牛革の加工
鞣された牛革をそのまま使うのではなく、加工してから使うことでキズに強くしたり、見た目に高級感を持たせたりします。
革財布に使われる時は、クロムなめし革は加工されて使われる事が多く、ヌメ革は加工無しで使われる事が多いです。
型押しレザー(エンボスレザー)
何の変哲もない普通の革に、金型をプレスして模様をつけた革です。
普通に買えばすごく高いクロコダイルやリザードなどのエキゾチックレザーも、模様を牛革にプレスすることで安価に手に入れる事ができます。
様々な型押しレザーがあるので面白いですね。≫
シュリンクレザー
手で揉んだり、薬品を使って縮ませた(シュリンク)革です。
手揉みのシュリンクは高級品、ドラムで薬品と熱を加えて縮ませたものは一般的に普及しています。
他にも型押しでシボを再現して、表面をシュリンクレザー風に仕上げた物もあります。
ヌバックレザー(スエード)
革の表面をフワフワと起毛させています。
サンドペーパーなどで革の裏面を削って起毛させているのがスエード。
革の表面を削って起毛させているのはヌバックです。
ヌバックの方がスエードよりも耐久性があるので、革財布に向いています。
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牛以外の革
牛革のように同じ革の中で呼び方が変わるような種類はいませんけど、個性的な革ばかりなので見ていて楽しいですね。
牛と比べると流通が少なく、レアな革として扱われている場合が多いです。
コードバン
馬のお尻の革の中にある超高密度の層の事で、一頭から僅かしか取れないのと、ガッシリとした農耕馬からしか取れないので年々貴重になり続けています。
取れる馬の種類が減っているので貴重になってきています。
そのうち手に入らなくなるんだろうなぁと思っています。
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ホースハイド(馬革)
馬革は繊維の密度が粗いので、軽くて柔らかな革です。
日本には新喜皮革という馬革専門の名門タンナーがいるので、馬革の革財布も結構出回っています。
革ジャンになると、かなり高級品になるのですが、革財布だとお手頃な価格の物が多いのが嬉しいです。
鹿革(ディアスキン)
通気性に優れていたり、柔らかくてしなやか、手ざわりもすごく良いです。
ふわっとしているので手袋に使われているイメージが強かったのですが、革財布でもたまに使われています。
ネイティブインディアンの服に使われている事でも有名ですね。
鹿革(印伝・印傳)
印伝も印傳も両方読み方は一緒で、「いんでん」と読みます。
日本伝統の、鞣した後に漆で模様を描いた鹿革です。
模様も和柄が多いので、和装にすごく似合いますね。もともとが鹿革なので、ディアスキンのように柔らかく温かみがあるのが特徴です。
経年変化で漆の色が変わってくるので、印伝マニアがいたりします。
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豚革
ブタはイメージが悪いのか、堂々と使っていることをアピールしている革製品は少ないです。
ただ、本革の製品なのに激安の場合は、大抵の場合で豚革が使われている事が多いですね。
牛革と違って不人気な革なのです。
最近では女性もののバッグなどで豚革を使っている事をアピールしているブランドが出てきましたね。
羊革(ラム・シープスキン)
柔らかくて手ざわりが良いのですが、キズがつきやすく耐久性があまり有りません。
大事に使えば長持ちするのですが、僕みたいなガサツな人間には向かない革です。
ラムは子供、シープは大人のヒツジのことです。
ゴートレザー(山羊革)
薄くて軽くて強靭。女性向けハイブランドの素材として良く使われています。
メンズ財布ブランドとしてはラルコバレーノが有名ですね。
牛革よりも少し高級な素材として扱われてます。
バッファロー
実はバッファローとは別の生き物、水牛(スイギュウ)の革なので、本来の意味でのバッファローとは違います。
革は分厚く柔らかで、シボが目立ちます。
東南アジアが原産で、牛革よりも安く手に入るので革ジャンなどにもよく使われます。
エキゾチックレザー
エキゾチックには異国情緒や異国の雰囲気という意味があります。
革においては、家畜以外の身近では無い生き物の総称としてエキゾチックレザーと呼んでいる傾向がありますね。
簡単にオススメ出来ないクセのある革ばかりですが、その魅力は一言では語り尽くせないぐらい深いです。
エイ革(スティングレイ)
僕はレザークラフトの方から革財布の世界に入ったので、エイ革は当たり前の素材でしたが、ファクトリーブランドでもあまりメジャーではない素材ですね。
小さなビーズを集めたようなブツブツの質感が苦手な人もいますが、かなり丈夫な素材で、加工も難しいです。
スターマークと呼ばれるガルーシャ一匹から一つしか取れない部位がカッコイイです。
鮫革(シャークスキン)
フカヒレに使われるヨシキリザメを素材にします。
カギ爪を使って鮫を引っ掛けて漁をするので、革には穴がポコポコと空いています。
上質な鮫革を手に入れるのは意外に難しいそうで、取り扱いブランドも限られています。
クロコダイル
超高級素材として知られているクロコダイルワニの革です。
高級すぎて使っている人をほとんど見たことが無いんですけど、さすがに貫禄が有ります。
ワニ革も数種類あるので、一口にクロコ革といっても値段もピンきりです。
リザード
リングマークトカゲと呼ばれる大きなトカゲの革です。
リングマークの名前の通り、丸い模様が入っているので脱色した後に染め直します。
見た目が上品なので、ドメスティックブランド(国内ブランド)で積極的に使用されています。
蛇革(パイソン)
有名なダイヤモンドパイソンと、不均等な模様のモラレスパイソンが有ります。
メンズ向けの革財布だとダイヤモンドパイソンの方が良く使われます。
経年変化で黄色っぽく焼けてきます。
コブラ
ヤフオクや楽天で、コブラの尾頭付き革財布を売っているのを見かけますね。
あれって使い勝手悪そうだなって思ってるんですけど実際はどうなんでしょう。
積極的に使われない素材ですが、内装にカラーコブラを使うとパイソンとはまた違ったカッコ良さが有ります。
ダチョウ革(オーストリッチ・レッグ)
鳥の革って、あまり見ませんね。
大きな鳥類がいないという事もあるんでしょうけど、ダチョウだけ別格で扱われています。
最近ではあまり使っているブランドを見なくなりましたが、一昔前までは高級品の代名詞でした。
象革
ワシントン条約のおかげで輸入量が規制されている貴重な皮革素材ですね。
起毛させているので手ざわりが良くて、なおかつイカツイです(笑)。
アメカジ系の革財布を作っているブランドで取り扱う事が多いです。
センザンコウ
個人的に一番好きではない革です。
乱獲によって絶滅寸前なので輸入規制されているのですが、密漁されまくっていて地球上から姿を消す日も近いとされています。
いくら革が好きでも、絶滅寸前の動物の革を有り難がるのはどうかなって思っています。
【参考:(閲覧注意)】
≫ 「http://shindenforest.blog.jp/archives/35655800.html」
イールスキン(ウナギ革)
韓国で生産されている、ヌタウナギを使った革です。
主に女性向けの製品に使われています。
ヨーロッパでは身に付けると幸運が舞い込んでくるラッキーアイテムだそうですよ。
合皮
革じゃないのに革財布、そう、合皮がありますね。
安っぽいベタベタとした合皮から、高級車の内装に使われるものまで種類も様々です。
財布の場合は、安さ重視で作られるので安っぽい合皮が多いです。
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じつは合皮もそんなに悪く無いんじゃないかと思ってたり...
革財布メインのWEBサイトを運営していてなんですが、合皮ってそこまで悪い物では無いですよね。 合皮を毛嫌いしている人がすごく多くてビックリしたんですけど、本革とは用途が違うのでそこさえ理解すれば大丈夫 ...
まとめ
革財布といっても、色々と豊富にありますね。
やっぱり使うなら牛革が最高なんですけど、それでもマイナーな革を使った財布も試してみたい。
牛以外の革は手入れが大変だというデメリットがありますが、それでもチャレンジしていきたいですね。